液化二酸化炭素大量輸送可能に 世界初の実証実験船完成 下関

脱炭素社会の実現に向けて、液化二酸化炭素の大量輸送を可能にする最適な条件を探る実験のための世界初の実証実験船が完成し、下関市で引き渡し式が行われました。

完成したのは、全長72メートル、総トン数およそ1000トンで、液化した二酸化炭素を運ぶ実証実験船、「えくすくぅる」です。
下関市の三菱造船江浦工場で行われた引き渡し式には、造船所や経済産業省などの関係者およそ60人が出席し、船主となる企業の社長に引き渡しの文書が手渡されました。
脱炭素社会の実現に向けて、発電所などで発生した二酸化炭素を回収してまとめて地下に貯留する取り組みが注目されていますが、大量輸送が課題となっています。
このため、「えくすくぅる」は、NEDO=新エネルギー・産業技術総合開発機構が、世界で初めて液化二酸化炭素の大量長距離輸送の実証実験を行うため建造しました。
あわせて1450立方メートルの液化二酸化炭素を貯蔵できる船は、来年10月以降、発電所がある京都府舞鶴市と、貯留施設がある北海道苫小牧市の間で、条件を変えながら輸送を繰り返し、最適な輸送条件を探るということです。
NEDO環境部の讃岐律子統括主幹は、「素晴らしい船ができた。世界初のCO2の大量輸送実験で世界に貢献したい」と話していました。