作家の伊集院静さん死去 山口県生まれ

人生の機微を端正に描いた小説や、エッセー「大人の流儀」シリーズなどで知られる直木賞作家の伊集院静さんが、24日、亡くなりました。73歳でした。

伊集院さんは、1950年に山口県に生まれ、都内の大学を卒業後、広告代理店の勤務などを経て、1981年に作家デビューしました。
地元・山口県などを舞台にした自伝的長編小説「海峡」3部作や、瀬戸内海の島の小学校を舞台に教師と子どもたちの交流を描いた「機関車先生」など、人生の機微を端正な筆致で描く小説を数多く発表し、1992年に短編集「受け月」で直木賞を受賞しました。
その後も自身の人生観や仕事観をつづるエッセー集、「大人の流儀」シリーズがベストセラーとなるなど、精力的に活動を続けてきました。
また、作詞家としても活躍し、近藤真彦さんの「ギンギラギンにさりげなく」や「愚か者」などのヒット曲を手がけています。
プライベートでは、1985年に当時の妻だった俳優の夏目雅子さんを白血病で亡くし、その後、俳優の篠ひろ子さんと結婚していました。
伊集院さんは、2020年にくも膜下出血で倒れましたがその後、復帰し、週刊誌での連載や新作の発表を続けていました。
しかし、先月(10月)初旬、肝内胆管がんの診断を受け、治療のため当面、執筆を休止することを発表していました。
妻の篠さんは24日夜、コメントを発表し、この中で、伊集院さんが24日に亡くなったことを明らかにしました。
73歳でした。
篠さんは、「自由気ままに生きた人生でした。人が好きで、きっと皆様に会いたかったはずですが、強がりを言って誰にも会わずに逝ってしまった主人のわがままをどうかお許しください。最期まで自分の生き方を貫き通した人生でした。ありがとうございました」などとコメントしています。

【防府市長“市民の誇り”】
伊集院さんの出身地、山口県防府市の池田豊市長は「大変、驚くとともに心より哀悼の意を表します。防府が生んだ直木賞作家で文化の街である防府を象徴するような方でした。伊集院さんは多方面で活躍されていて、市民のみなさんの誇りで残念としかいいようがないです」と話していました。