中間貯蔵施設 なぜ地域振興につながるのか?

中間貯蔵施設の建設がなぜ地域振興につながるのか。
1つは財政面でのメリットが挙げられます。
中間貯蔵施設の建設を進めるために政府は2015年に交付金を設けています。
建設に向けた調査が開始された年から都道府県知事の同意が得られた年までは毎年、1億4000万円、知事の同意が得られた翌年から最大2年間は毎年、9億8000万円を交付するとしています。
さらに、工事が始まったあとも施設の貯蔵容量などに応じた交付金が交付されます。
このほか地元には「核燃料税」と呼ばれる核燃料の保管量に応じて課される税の収入などが確保できる可能性があるほか、施設の建設工事に伴う労働者の流入といった経済的な効果も期待されます。
一方で、プルトニウムやウランなど核物質の持ち込みを不安視する声も上がり、この問題をめぐって町内の新たな対立を生む可能性があります。

中国電力の申し入れのあと、原発の建設計画に反対する住民たちが上関町の西町長と会談しました。
会談は町長室で非公開で行われ、会談のあと、反対派の清水康博町議が取材に応じ、中国電力の提案について町長から議会に諮ると説明があったことを明かしました。
その上で清水町議は「中間貯蔵施設についてはきのうの報道で知った住民もいて、方向性を議員だけで決めるのは町民をないがしろにしている」として、町長に住民への直接の説明を求めたということです。
また、地元の住民団体、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の木村力運営委員は、「中間貯蔵施設の話が突然出てきて進め方が性急な気がする。中間貯蔵施設によって上関の豊かな自然といった魅力を失ってしまう。もっと住民の意見を聞くことが必要だと思う」と話しています。

中国電力は原子力発電所で使い終わった核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」を上関町に建設することが可能かどうか調べるとともに、計画の検討に必要なデータを集めることにしています。
調査は上関町の理解を得た上で準備が整いしだい、始めることにしています。
具体的には関西電力と共同で半年ほどかけて地表や地質の調査に加えてボーリング調査を行って、真下に活断層がないかや過去の地震について調査を行う予定です。
中国電力によりますと、調査結果を踏まえて、建設できると判断した場合、具体的な建設計画を作り、上関町に示すことにしています。
その上で地元の理解が得られれば、設置の許可などを得るために、原子力規制委員会の審査を受ける申請を行うことにしています。

今回の提案を受けて、上関町は議会側の考えを聞く場を早急に設けることにしています。
具体的には、臨時議会を招集するか、全員協議会を開くなどして意見の集約を諮りたい考えで、早ければ来週にもこうした場を設ける方向で調整を進めています。