捕鯨母船「日新丸」 最後の航海へ 広島 尾道で出港式
30年余りにわたってクジラを捕獲してきた捕鯨母船「日新丸」が廃船になることが決まり、最後の航海に向けて、広島県尾道市で出港式が行われました。
全長およそ130メートル、総トン数8145トンの「日新丸」は、世界で唯一、船団を組んでクジラを捕獲する捕鯨母船で、水産会社「共同船舶」が運航しています。
昭和62年に建造されたあと、平成3年からは、当時行われていた調査捕鯨の母船になり、現在の商業捕鯨を含めて30年余りにわたってクジラを捕獲してきましたが、老朽化のため廃船になることが決まりました。
23日は、最後の航海になる今シーズンの漁の出港式が広島県尾道市因島の造船所で行われ、共同船舶の所英樹社長が、「これまで日新丸を支えてくれた方々に感謝を申し上げます。沖合での捕鯨をこれからも続けていく覚悟です」とあいさつしました。
そして、社員や船員の家族に見送られながら、ゆっくりと出航しました。
「日新丸」は、このあと三陸沖から北海道の東沖でニタリクジラやイワシクジラを捕獲し、ことし11月に捕鯨船団の拠点になっている山口県の下関港に戻ります。
阿部敦男船団長は、「最後の航海ですが、気持ちは変わらずいいクジラを獲って帰ってきたい」と話していました。
共同船舶では、「日新丸」に代わる新たな捕鯨母船「関鯨丸」を下関市で建造しています。