県の「センチュリー」購入裁判 広島高裁 住民の訴え退ける

山口県が2000万円あまりをかけて公用車として高級車「センチュリー」を購入したのは違法な支出だとして、住民が県に対し村岡知事に費用を請求するよう求めた裁判の2審の判決で、広島高等裁判所は「購入の目的は相当なもので、契約が違法だったとは認められない」として、1審とは逆に住民の訴えを退ける判決を言い渡しました。

山口県は3年前、県庁の公用車として高級車の「センチュリー」を2090万円で購入し、元県職員の住民が購入は知事の裁量権の逸脱で違法な公金の支出だと訴えていました。
1審の山口地方裁判所は去年11月、「購入の必要性の検討が不十分だった」などとして、県に対し村岡知事に費用全額の2090万円を請求するよう命じる判決を言い渡し、県が控訴していました。
10日の判決で広島高等裁判所の西井和徒裁判長は、「皇室や外国の要人に県として最大限の敬意を示し、安心安全で確実な送迎を行うためという購入の目的は相当なものだと認められ、ほかの車種の検討はされなかったものの、センチュリーを長年使用してきた実績からすれば、その判断にも相応の合理性を認めることができる」と指摘しました。
その上で、「知事が購入の契約をしたことは裁量権の逸脱や乱用だと評価することはできず、違法だったとは認められない」として、1審とは逆に住民の訴えを退ける判決を言い渡しました。

原告で元県職員の松林俊治さんは判決後に開いた会見で、「判決は非常に残念で、到底納得できない。税金を無駄に使わせないという声を引き続き上げていく必要があると思っている」と述べて、最高裁判所に上告する考えを明らかにしました。
また、内山新吾弁護士は、「行政を裁判所がチェックする役割を果たしてくれなかった大変残念な判決だ。このような判決が出ると行政側が何をやっても大丈夫だとなり、税金を自由に使ってしまうようになることを危惧している」と話していました。

2審の判決について山口県の村岡知事は「これまでの本県の主張が認められたものと考えている。今後も予算や事務作業の適切な執行に努めて参る」とコメントしています。