阿武町誤振込刑事裁判 検察側 懲役4年6か月を求刑
阿武町から誤って振り込まれた給付金を別の口座に振り替えたとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われている被告の裁判で、検察は、「振り替えに正当な権限がなく結果は重大だ」と指摘し、懲役4年6か月を求刑しました。
阿武町の田口翔被告(24)は、町から振り込まれた国の臨時特別給付金4630万円を、誤って入金されたと知りながら決済代行業者の口座に振り替えるなどしたとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われています。
山口地方裁判所で開かれた裁判で、検察は、「被告は誤振込された金の実質的な権利は有しておらず、振り替えに正当な権限はなかった」としたうえで、「非常に高額な公金が海外のオンラインカジノ業者に流出した結果は重大で、被害回復済みだが、被告の弁済は差し押さえなどの4万円余りと借用したおよそ347万円にとどまり、大部分が被告の努力や反省とは全く無関係に第三者によってなされた」と指摘しました。
そのうえで、「誤振込をきっかけに賭博しようとした犯行で、安易で自己中心的というほかない」として、懲役4年6か月を求刑しました。
一方、被告側の弁護士は、事実関係に争いはないとしたうえで、「被告が入力した口座や振込金額の情報などは虚偽の情報ではなく、不法に利益も得ていないので、電子計算機使用詐欺罪は成立しない」と述べて無罪を主張しました。
最後に田口被告は、「大変、多くの方にご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」と述べました。
裁判の判決は来年2月28日に言い渡される予定です。
27日午後2時40分ごろ、山口地方裁判所に到着した田口翔被告は、黒いスーツに後ろに髪を束ねた姿で、弁護士らとともに報道陣からの問いには答えず前をまっすぐ見つめて建物に入りました。
田口被告は、検察が4年6か月を求刑をすると静かにやや斜め下をずっと見つめていました。
また、最後に言い残したことはないか裁判官から尋ねられると、田口被告は、「このたびは大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げました。