井上ひさしさんしのぶ「吉里吉里忌」川西町に大勢のファン

「吉里吉里人」などの作品で知られる小説家、井上ひさしさんをしのぶ催し「吉里吉里忌」が出身地の山形県川西町で開かれ、全国から大勢のファンが訪れました。

井上さんは14年前の4月、75歳で亡くなり、出身地の川西町では、日本から独立しようとする東北の村をユーモラスに描いた小説「吉里吉里人」にちなんで、井上さんをしのぶ催し「吉里吉里忌」が毎年開かれています。

14日は、全国からファンおよそ500人が駆けつけ、ゆかりのある俳優などが思い出を語りました。

井上さんの作品の舞台音楽などを担当したジャズピアニスト、小曽根真さんは、井上さんから作曲を依頼され、1度は断ったものの、一緒に食事をした際、「承諾するまで帰らない」と言われ、引き受けたというエピソードを披露しました。

また、小曽根さんの妻で、井上さんの舞台作品に出演した俳優の神野三鈴さんは、井上さんから「小説は孤独に書くもので、舞台作品は出演者と観客で作る1つの共同体だ」と教わった思い出を紹介していました。

最後に、小曽根さんのピアノの演奏に合わせて神野さんが井上さんの作品の一節を朗読すると、会場から大きな拍手が起きていました。

福島県から訪れた女性は「井上先生が小曽根さんと神野さんを信頼していたことが伝わってきて、いい時間でした」と話していました。