独居高齢者の転倒 AIで検知へ 山形 天童市で実証実験開始

1人暮らしをしている高齢者の転倒をAI=人工知能が検知して家族などに通知するサービスの商品化に向けた実証実験を、大手通信会社が全国で初めて、天童市の個人宅で始めました。

この実証実験は、1人暮らしをしていたり、家族の外出中に自宅で過ごしたりすることが多い高齢者の転倒を把握して病院へのすみやかな搬送などを目指し、大手通信会社「NTTコミュニケーションズ」が6日から始めました。

初日の6日は、会社の担当者が天童市で1人暮らしをしている80代の女性の自宅を訪れ、AIを搭載した専用のアプリが入ったスマートフォンを寝室に設置していました。

このアプリでは、転倒の動きをAIが検知すると、離れた場所にいる家族やふだん利用している介護施設に通知が届く設定になっていて、病院への速やかな搬送など適切な対応につなげられるほか▽転倒する前後のあわせておよそ10秒の間に撮影した複数の写真も通知されるため、転倒の原因を分析することもできるということです。

実験に協力した女性は、「とても心強く、安心して寝られます」と話していました。

また、離れて暮らしている女性の娘は、「これまで自宅で転倒したり体調を崩したりしたこともありました。週に1度しか来られないし、夜間に何かあったら怖いので安心感につながります」と話していました。


この大手通信会社は、天童市の介護事業所が運営する特別養護老人ホームでも、このサービスの実証実験を3年前から行っています。

実験では、メリットとして▽保存された複数の写真を参考に高齢者が転倒しないように新たに手すりを設置したり、家具の配置を変えるなどの再発防止策を講じたり、▽認知機能が低下した高齢者の説明が明確でない場合でも転倒の原因が特定できるようになったりしたということです。

NTTコミュニケーションズの竹葉良太郎主査は、「室内では、さまざまな物があったり、高齢者ならではの姿勢などもあったりすると思うので、実験を通じて転倒しているかどうかを判断するノウハウを蓄積し、ことし秋ごろの商品化を目指したい」と話していました。