大学生の就職活動が本格化 売り手市場で働きやすさアピールも

来年春に卒業する大学生を対象にした会社説明会が、1日解禁され、就職活動が本格的に始まりました。
ことしも学生優位の「売り手市場」が見込まれていて、企業の中には、働きやすさをアピールして採用につなげようという動きも出ています。

来年春に卒業するいまの大学3年生の就職活動は、政府が決めたルールで、1日から企業による学生への説明会が始まっています。

山形労働局によりますと、ことしも学生優位の「売り手市場」が見込まれ、企業の間で人材の獲得競争は激しさを増しているということです。

地質調査などを行っている従業員およそ50人の寒河江市の建設会社では、採用活動を行っても学生が集まらず、1人も採用できない状況が続いていたということです。

このため、若い世代に会社のことを知ってもらおうと、3年前からSNSを活用して、職場で働く社員の姿を発信したり、積極的に学生とコミュニケーションを図ったりしたところ、学生の採用につながったということです。

また、出退勤の時間をスマートフォンから記録できるようにして長時間労働を防ぐなど、働き方改革も進めています。

この会社は、若者にとって働きやすい環境づくりを進めている中小企業として、昨年度、国から認定を受けていて、学生たちに働きやすさをアピールすることで採用につなげたいとしています。

建設会社の採用担当者、名和みさきさんは「率直に会社の現状や雰囲気を伝え、会社のことを知ってもらうことで、仕事に前向きに取り組む学生の採用につなげたい」と話していました。


山形労働局によりますと、県外の企業への就職を希望する学生が多い一方、コロナ禍からの経済の回復などを背景に、企業の採用意欲は高まっていて、売り手市場に拍車がかかっているということです。

この春、大学を卒業する学生のうち、県外の企業を就職先に選んだ学生は、およそ8割にのぼっています。

コロナ禍でオンラインでの就職活動が活発になり、県内の学生たちは、首都圏など県外の企業の採用情報にふれる機会が増えているということで、就職先に県外の企業を選ぶ傾向は、今後も続く見込みだということです。

一方で、人手不足が続く中、コロナ禍からの経済の回復などを背景に企業の採用意欲は高まっていて、企業の間で、人材獲得の競争が激しさを増しています。

就職活動を行う若者と若者を採用したい中小企業のマッチングを支援しようと、国は、若者にとって働きやすい環境づくりを進めている中小企業を認定する「ユースエール」と呼ばれる制度を行っています。

県内では働きやすさをアピールして採用につなげようと、認定を受ける企業が増えていて、今年度は昨年度と比べ、倍増しているということです。

山形労働局で採用活動の支援を行う美濃谷孝明さんは、「ワークライフバランスを重視する学生が増えている中、働きやすさを魅力として伝える企業が増えているように感じる。学生と企業は直接会って話す機会を設け、互いの魅力を伝えることを大切にしてほしい」と話していました。