鶴岡市の土砂災害から1年 現場で亡くなった人たちを悼む

去年の大みそか山形県鶴岡市で2人が亡くなった土砂災害から31日で1年です。
市の関係者や住民などが現場を訪れ、亡くなった人たちを悼みました。

去年12月31日、鶴岡市西目で発生した土砂災害では、住宅など17棟が倒壊して2人が死亡しました。

発生から1年となった31日、現場では、鶴岡市の皆川治市長や住民などあわせて8人が、亡くなった2人が見つかった場所に花を手向けたあと、黙とうをささげました。

土砂災害があった地区の自治会長の安倍長一さんは「この1年、非常に早かった。災害を教訓にささいなことにも目を向けながら地域で防災対策を考えていきたい」と話していました。

また、皆川市長は「大みそかで平穏に新年を迎えたい時に発生して地域にとって、大変な1年だったと思う。土砂災害の対策について、県と連携しながら進めていきたい」と話していました。

現場近くでは4世帯に出されていた避難指示が先月28日にすべて解除されましたが、山形県は崩れた斜面などを補強する工事を続けていて、来年度中に完了する見通しです。

県によりますと県内でこの現場と地形や地質が似ていて住民に大きな被害が出るおそれがある区域は671か所にのぼります。

県内では土砂災害のハザードマップを見直す動きも出てきていて、今後は、山間部などの住民の適切な避難にどのようにつなげていくかが課題となっています。

【専門家は】

大みそかに発生した土砂災害について専門家は、夏と比べて冬は気温が低くく、雨が蒸発せずに地下に浸透しやすいとしたうえで、大雨が降る季節だけではなく冬にも土砂災害が起きる危険性があることを指摘しています。

日本地すべり学会東北支部の専門家チームはおよそ半年かけて、現場の地質や地下水などを調査しました。

チームの代表を務める山形大学の八木浩司名誉教授によりますと現場周辺は風化が進んでいる地質で、およそ50年前に掘削されたことで、強度が落ちていたといことです。

そして、去年は12月としては観測史上最も多い雨が降り、地下の水圧が上がったことで土砂災害が発生したと分析しています。

さらに、八木名誉教授は、夏と比べて冬は気温が低くく、雨が蒸発せずに地下に浸透しやすいとしたうえで、大雨が降る季節だけではなく冬にも土砂災害が起きる危険性があることを指摘しています。

八木名誉教授は「あくまで引き金は大量に降った雨だが、いくつかの要因が重なりあったことで起きてしまったとみている。自分の住んでいる地域の山が土砂災害警戒区域などに指定されていないか、ハザードマップで確認するとともに、日頃から斜面の状況を気にしておくことが重要だ」としています。