部活動の女子中学生が熱中症疑いで死亡 米沢市教委が謝罪

28日、山形県米沢市で、部活動を終えた女子中学生が熱中症とみられる症状で搬送され、その後、死亡したことを受けて市の教育委員会が30日会見し、学校では女子生徒に体調の不良など変わった様子はみられなかったことなどを説明しました。

28日の午前11時すぎ、米沢市口田沢の国道脇の歩道で女子中学生が熱中症とみられる症状で倒れているのが見つかり、意識不明の状態で搬送され、およそ11時間後に死亡しました。

これを受け、米沢市教育委員会は30日、記者会見を開きました。

教育委員会によりますと、28日、女子生徒は午前8時半ごろから部活動に参加し、活動中は顧問の教員の指示でおよそ20分おきに、水分を補給していたということです。

さらに顧問の教員は、部活動を開始した時点で、気温が上がることが予想されたため、予定より1時間早く終了することを生徒たちに伝え、午前10時前に部活動を終わらせたということです。

このため女子生徒は午前10時半ごろ、自転車に乗って学校を出たということですが、体調の不良を訴えるなど、変わった様子はみられなかったということです。

米沢市教育委員会の土屋宏教育長は「生徒の命を守ることができず、申し訳なく、おわび申し上げる。命を守る教育を徹底していく」と謝罪しました。

教育委員会は30日午前、臨時で市内の小中学校の校長を集めた会議を開き、夕方には女子生徒が通っていた学校で保護者会を開いていきさつなどを説明したということです。

【経緯】
米沢市教育委員会によりますと、28日、女子生徒は部活動に参加するため、午前8時10分に自転車で学校に到着したということです。

部活動は午前8時半から午前11時までの予定で、時間どおりに始まりました。

活動中は顧問の教員の指示でおよそ20分おきに、水分の補給をしていて、気温が高くなっため、予定より1時間ほど早く、午前9時55分に部活動は終了しました。

このあと、女子生徒は午前10時半に自転車で学校を出たということです。

午前11時すぎ、米沢市口田沢の国道脇の歩道で「女子中学生が倒れている」と近くを通りかかった人から消防に通報がありました。

女子生徒は消防が駆けつけた時は、自転車用のヘルメットをつけたまま、自転車の横に熱中症と見られる症状で倒れていて、意識不明の状態で病院に搬送されました。

そして、午後9時50分ごろに亡くなったということです。

【ガイドライン】
米沢市教育委員会は、熱中症を予防する対策や児童や生徒が熱中症になった場合の対応などを示したガイドラインをまとめています。

この中で、エアコンが設置されていない場所や体育館、それに屋外で活動する際、気温や湿度などから熱中症予防の指標となる「暑さ指数」を専用の機器で測定することになっています。

この機器は、市内の小中学校すべてに備えられていて、「暑さ指数」によって、部活動を中止したり、激しい運動を控えるなど活動を制限したりします。

亡くなった生徒が所属していた部活動の顧問の教員は、学校の聞き取りに対して、「毎回、測定していた。暑くなることが予想され、早めに部活動を切り上げることを決めていたのでこの日は、測定しなかった」といった説明しているということです。

このため、市教育委員会によりますと「暑さ指数」がどの程度の数値だったのか把握できていないということです。

市教育委員会は「ガイドラインに従えば、測定したほうがよかった。今後は、ガイドラインに沿った対応を徹底していきたい」としています。

市教育委員会は30日午前、臨時で市内の小中学校の校長を集めた会議を開き、ガイドラインを徹底するよう指示したということです。

【保護者へ説明】
亡くなった生徒が通っていた学校は30日夕方、臨時の保護者会を開きました。

保護者会は関係者を除いて非公開で行われ、米沢市教育委員会によりますと、初めに学校側は当日のいきさつを説明したということです。

また、今後の対応について、部活動が始まる前と、終わったあとにこれまで以上に生徒の健康状況の把握を行うことや、暑い場所で活動したあとは、涼しい場所で一定時間、過ごしてから帰宅させるなど、対策を示したということです。

これに対して、保護者からは「下校のときは、複数人で帰るなどの指導をしてほしい」といった要望があったということです。

また水分補給については「水筒だけではなく、ペットボトルも持参させてほしい」といった意見が出たということです。