「全国新酒鑑評会」金賞の数で山形県が全国1位

日本酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会で、山形県の酒はあわせて20点が「金賞」に選ばれ、都道府県別の受賞数で9年ぶり3回目の日本一となりました。

全国新酒鑑評会は、日本酒の品質や製造技術の向上のために、独立行政法人酒類総合研究所などが毎年、開催しています。

111回目のことしは全国から818点が出品され、審査の結果が24日発表されました。

それによりますと特に優れた日本酒に贈られる「金賞」を受賞したのは全体のおよそ4分の1の218点で、このうち、山形県からは20点が選ばれ都道府県別の受賞数で日本一に輝きました。

山形県酒造組合によりますと、山形県の日本一は、平成26年以来、9年ぶりで3回目です。

山形県酒造組合の仲野益美会長はNHKの取材に対し、「山形の酒づくりの技術の高さが認められ、うれしい。国内での販売は新型コロナの影響で苦戦が続いているが、久しぶりの日本一という明るい話題が需要喚起の弾みとなれば」とコメントしています。

9回連続で金賞に選ばれた山形県酒田市の酒蔵の経営者からは金賞の受賞数が日本一になったことについて喜びの声が聞かれました。

昭和22年に設立された酒田市の酒蔵「酒田酒造」では、ことし、「上喜元」という大吟醸酒を出品し、金賞に選ばれました。

金賞受賞は新型コロナの影響で金賞を決める審査が中止となった3年前を挟んで9回連続です。

蔵によりますと、ことしは原料にした酒米の「山田錦」が固かったため水分を多めに含ませるなどの工夫をこらし、すっきりとした上品な甘さに仕上がったということです。

「酒田酒造」の佐藤正一社長は「苦労したがことしも金賞を受賞できてひときわうれしく思う。今回の日本一を弾みに山形の日本酒の魅力を全国に発信できれば」と話していました。

この酒蔵には県内外の他の蔵の若手の杜氏や杜氏を目指す若者が酒造りについて教えを請いに来ることが多く、そうした人たちのための「合宿部屋」も設けていて、ここで寝泊まりしながら、長い人で半年程度酒造りの技術を学んできたということです。

佐藤社長は「自分の蔵だけよければいいというやり方だと、日本酒自体が他の酒から遅れをとってしまうことになりかねない。県内外の他の蔵と教え合いながら、日本酒の更なる可能性を探っていきたい」と話していました。