コロナ感染者受け入れた病院 ほかの病院よりがん手術件数減少
新型コロナウイルスの感染者を受け入れた山形県内の医療機関では、入院したがん患者の手術件数が感染者を受け入れていない病院と比べて減少していたことが、山形大学の研究で分かりました。
これは4日、山形大学医学部の研究グループが会見を開き、明らかにしました。
研究グループでは、平成29年から去年までの4年間でがんの手術を100件以上行った県内17の医療機関を対象に、▽新型コロナの感染者を受け入れた病院と、▽受け入れていない病院に分けて、入院したがん患者の手術にどのような影響があったのか、調査・分析しました。
その結果、県内で感染者が出始め、全国に「緊急事態宣言」が出されたおととし4月の1か月間では、手術の延期や患者の受診控えなどの影響で、感染者を受け入れた病院は受け入れていない病院と比べて、がんの手術件数は80件、減っていたということです。
また、全国で再び感染が広がり始めた去年3月までの4か月間では、感染者の病床を確保するため、ほかの患者の受け入れを減らす必要があったことなどから、感染者を受け入れた病院は受け入れていない病院と比べて、がんの手術件数が毎月50件減っていたということです。
この結果を受けて研究グループの担当者は、患者が必要な治療が受けられるように、県内の医療機関で新型コロナとがんの治療を担う病院を分けるなど、役割分担をする必要があると話していました。
また、役割分担を行った結果、患者が遠方の病院で治療を受ける必要が出た場合には、県や市町村が交通費の助成を行うなど、支援をしていくことが求められると提言しています。