公益通報の和歌山市職員自殺 支援団体が第三者委の調査要望

和歌山市の不適切な会計処理を公益通報した男性職員が4年前に自殺した問題をめぐり、支援する団体などは、公益通報者が守られていなかった疑いがあるとして、市に対し、第三者委員会を設置して経緯を調査するよう求めています。

これは、弁護士などで作る支援団体が14日、記者会見して明らかにしました。
それによりますと6年前の2018年、当時、20代だった和歌山市の男性職員が、地域の子ども会に補助金を支出する業務に関して、「子ども会側が補助金を得られるように架空の活動内容の書類を作るよう上司から依頼され、心身に不調があらわれるようになった」と訴えて休職し、その後、市の公益通報の窓口に通報したということです。
和歌山市はこれをもとに調査を行い、1000万円余りの不適切な支出があったなどとして、あわせて15人の職員を処分しています。
その後、男性は復職しましたが4年前の2020年に自殺しました。
支援団体によりますと、男性が復職後に配置された職場の同じフロアには公益通報で処分を受けた職員もいたということで、支援団体は、公益通報者が守られていなかった疑いがあるとして、市に第三者委員会を設置して経緯を調査するよう求めています。
男性の遺族は、公務災害の認定を請求していましたが、ことし1月、「公益通報から自殺まで長い時間がある」などとして棄却され、5月13日、不服を申し立てたということです。

【和歌山市のコメント】
これについて和歌山市人事課の大谷伸吾課長は、「公益通報後の職員の異動は本人の適性や希望を踏まえている。同じフロアにいた処分された職員は別の課であり、不適切な人事配置ではなかったと考えている」としたうえで、「公益通報者の秘密も守られるよう適正に配慮していた」と話しています。

【公益通報とは】
公益通報とは、働いてる人や退職した人などが勤務先で刑事罰や過料の対象となる不正を見聞きした場合に通報することです。
通報した人を守るため公益通報者保護法という法律があり、解雇は無効で降格や減給などの不利益な取り扱いも禁止されています。
また、通報先となる国や自治体を含む事業者には、通報に適切に対応するための窓口を設置するなど必要な体制を整備するほか、通報者の特定につながる情報を守ることが義務づけられています。