有田川町の醸造所 和歌山産クラフトビールを世界に

4月23日は「地ビールの日」です。
業界団体の日本地ビール協会が平成12年に定め、地ビールの文化を広める日としています。
規制緩和で、小規模のビールづくりが可能となり、その醸造所ならではのクラフトビールや、地域の原料を使った地ビールで、地域の活性化につなげようという動きが各地で相次いでいます。

県内でも、7つのメーカーがクラフトビールや地ビールをつくっていてこのうちの1社、有田川町の醸造所では、製造するビールが品評会で1位を獲得したのをきっかけに国内外に販路を広げようと動き始めています。
有田川町にある醸造所、「ノムクラフトブリューイング」は、ことし2月、横浜市で開かれた国内最大規模と言われる、クラフトビールの品評会で、出品された140の銘柄中、最高得点を獲得、1位に選ばれました。
原料のホップの苦みとフルーティーな豊かな香りのバランスをうまくとった、こだわりの仕上げが高い評価を受けたのです。
今回の評価について醸造所の金子巧代表は、「僕らが追い求めたものにブラッシュアップできてうれしい結果でした」と話していました。
この醸造所は、メンバー全員が移住者というユニークな醸造所で、日本でビールづくりをしたいというアメリカやイギリス出身のメンバーと、代表の金子さんたちが5年前からビールづくりを進めてきたということです。
廃園になった保育所をリノベーションした複合施設に入る醸造所の、ビール事業そのものが、地域経済を活気づける役割も担っています。
今後、品評会での高い評価を背景に、日本国内をはじめ、アジア地域にも販路を拡大し、製造量をこれまでの3倍に増やしたいとしています。
金子代表は「移住者だからこそ、地域にしがらみがなく、自由にできているところがある。この町でこんなにおもしろいことをやっていると、多くの人に知ってもらい、それをきっかけに有田川町を訪れてくれるようになったらうれしい」と町のにぎわいにも貢献したいとしています。

【きのくに信用金庫が地ビールづくり!?地域活性化目指す】
行政や金融機関も地ビールで地域の活性化に動き出しています。
4月17日、東京・羽田空港近くの醸造所で地ビールを仕込む式典が行われました。
式には、岸本知事も駆けつけ、和歌山県特産のみかんを使った新たなビールを売り込みました。
「みかんエール」と名付けられたこのビールをつくるのは、和歌山市に本店がある地域金融機関「きのくに信用金庫」です。
全国の信用金庫が連携して地域の新たな特産品づくりを進めようと、金融機関みずからがビールづくりを進めていて、今回、和歌山県産のみかんを原料に入れた地ビールをつくることになったのです。
有田市でみかんジュースをつくる農園から原料を提供してもらい醸造、東京にある和歌山県のアンテナショップなどで販売します。
新たなビールは5月末にお披露目の予定だということです。
きのくに信用金庫の田谷節朗理事長は、「地域に元気になっていただくために、何が必要かをしっかりと対話しながら地ビールで支援をしていきたい」。
「今回のビールづくりで和歌山県のみかんをさらに全国に情報発信する機会にしたい」と話していました。