全国有数の梅の産地 主力の「南高梅」生育悪い見通し

全国有数の梅の産地として知られる和歌山県の梅の主力品種「南高梅」は、ことしは実の数が少なく過去10年の平均の5割ほどにとどまり、例年よりも生育状況が悪いことが県などの調査でわかってきました。

梅の一大産地、田辺市の周辺では毎年、県や地元のJAなどで作る団体が、梅の実がなる4月から5月にかけて実の生育状況の調査をしていて、18日は、県の職員などがみなべ町と印南町のおよそ100の農園で生育状況の確認をしました。
ことしの調査は、すでに、田辺市などで行われていて、主力品種「南高梅」の実の数が過去10年の平均の5割ほどにとどまっていて、18日の調査も同じような状況が確認されているということで、ことしは産地全体で梅の生育が例年よりも悪いことがわかってきました。
また、調査では、梅の木などを食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」が県内で生息範囲を拡大していて、幼虫が出す「フラス」と呼ばれるふんと木くずの混じったものが、発生していないかどうかも確認していました。
調査をした日高果樹技術者協議会事務局の行森啓さんは、「梅の実の着果数は、だいぶ少なめになると思います。ことしは外来のカミキリに警戒するととともにカメムシの大量発生も見込まれ、害虫に注意してほしい」と話しています。

【カメムシ大量発生か 梅の実への被害に要注意】
和歌山県の梅の産地では、ことしは、木を食い荒らすクビアカツヤカミキリに加え、梅の実に被害を及ぼすカメムシへの警戒も強めています。
ことし2月から3月にかけて県内の47地点で行った県の調査によりますと、落ち葉50リットルあたりにいた、冬を越したカメムシの数が平均で2.9匹だったということです。
これは、過去10年の平均の0.5匹に比べて6倍近い水準で、過去10年で最も多いということです。
去年の夏から秋にかけて多くのカメムシが繁殖し、冬を越した成虫が増えたためとみられるということです。
カメムシは、針のような口を梅の実などに刺して種の栄養分や果汁を吸うため、実の表面を変色させたり、傷をつけたりするということで、今後、暖かくなるにつれてカメムシの被害が増えるとみられ、県は農家に薬剤の散布などの対策を呼びかけています。
和歌山県のうめ研究所の裏垣翔野 研究員は、「夜の温度が高まると、カメムシは活発に動き出します。暖かくなるといつ被害が出てもおかしくありません。カメムシが増えてきたら有効な農薬を散布することが重要です」と話していました。