高野町 金剛峯寺の本坊にある12の建物 国の重要文化財に

高野町にある高野山真言宗の総本山、金剛峯寺の12の建物が、新たに国の重要文化財に指定されることになりました。

国の重要文化財に指定されることになったのは、弘法大師・空海が開いた高野山真言宗の総本山で、高野町の金剛峯寺の本坊にある12の建物です。
このうち、本坊の中核をなす「大主殿及び奥書院」は、江戸時代の末期に再建されたもので、客殿と庫裏、そして書院がいったいとなった複雑な間取りが特徴です。
中でも、▼総本山の寺院にふさわしく、意匠を凝らし高い格式を感じさせる客殿の大広間や、▼吹き抜けに太いはりが交差した庫裏は、いずれも見応えのある空間となっています。
また、それぞれの部屋の屋根が連なる建築は、高野山のさまざまな寺院で見られる伝統的な造りとなっているなど、文化財として高い歴史的価値があります。
国の文化審議会は、24日、重要文化財の指定を文部科学大臣に答申しました。
県によりますと、県内で国の重要文化財に指定された建造物は、これで86件になるということです。

【金剛峯寺の重文建造物とは】
金剛峯寺は、標高およそ850メートルの山の上にある高野山真言宗の総本山で、その本坊の境内には、江戸時代前期から末期までの建造物が残っています。
今回、国の重要文化財に指定されることになった12の建物のうち、「大主殿及び奥書院」は、江戸時代末期の1860年に火災で焼失し、その2年後に再建されました。
重要な儀式や法要が行われる「大広間」は、ふすま絵に松や鶴の群れが描かれ、格式高い造りになっています。
また、台所である「庫裏」は広い板の間となっていて、中央にある大きなかまどは、現在も重要な儀式の際などに使用されています。
かつては3基の大釜で一度におよそ2000人分のご飯を炊き、大勢の僧侶の食事を賄ってきたということです。
このほか、「真然堂」は、空海に続いて草創期の高野山を発展させた「真然大徳」がまつられていて、1640年に建てられ、年代が明らかな建物のうち最も古いものです。
また、その奥の「護摩堂」は不動明王がまつられる仏堂で、現在も護摩法要が行われています。
こうした12の建物がある金剛峯寺本坊の境内は静ひつな雰囲気で、季節を問わず国内外から多くの拝観者が訪れています。

【金剛峯寺 担当者は】
総本山金剛峯寺の藪邦彦 執務公室長は、「歴史上、高野山は大火に見舞われたことが何度もあります。今回の国の重要文化財指定を機に建物や文化をしっかり守り抜いて、弘法大師の教えを後生に伝えていかなくてはいけないという思いを新たにしました」と話していました。