有田 地元の漁業や林業通じ高校生がSDGs学ぶ

国連が掲げる持続可能な開発目標、SDGsの達成について、国連ニューヨーク本部で首脳級の会合が開かれ、各国が対応の加速を約束する政治宣言を採択しました。
こうした中、有田市の高校ではSDGsを身近な目標としてとらえようという取り組みが行われています。

5日に開幕した国連総会では、19日までの2日間、国連が掲げるSDGsをめぐる首脳級の会合が開かれました。
SDGsは、2030年までの達成を目指す国際目標で、▼貧困や飢餓の解決や、▼気候変動対策など17の目標を掲げていて、新型コロナの感染拡大やウクライナ情勢を受けて、期限までの目標の達成が困難とも指摘され、各国が協力を模索しています。
こうした中、有田市の箕島高校では、地元に関わる食料や環境の課題を学びながらSDGsの達成に向けた取り組みを考える授業を進めています。
毎週1時間行われている、「総合的な探求の時間」で、1年生が9つのグループに分かれて行われている授業のうち、「山の恵み」を考えるグループは、この日、県の職員や林業関係者などから、二酸化炭素を吸収し地球温暖化の防止に貢献している森林を利用しながら、守るための人手の確保が課題になっていることなどを学んでいました。
授業に参加した竹島和真さんは「地球温暖化に林業がどのように影響しているのかに興味があります。SDGsの17の目標のうち半分以上が林業に関係しているということを知り、すごいと思った」と話していました。
さらに、具体的な取り組みを考えるグループもありました。
地元でとれた魚で、食べられず、捨てられてしまう「未利用魚」の問題を学ぶグループの授業では、地元の漁港で水揚げされた、いずれも、小さかったり、傷があったりする、マメアジやタチウオなど出荷が難しいと判断された未利用魚が運び込まれました。
生徒たちは、漁師から、こうした魚が高く売れないことなどの説明を受けました。
そして、その未利用魚をすしにして、有効活用しようと、魚のさばき方やすしの握り方なども学んでいました。
参加した上野山美羽さんは「SDGsを身近に感じ自分たちにもできることがあるのだと知りました。できることを調べたり考えたりして実行したい」と話していました。
授業を担当する山田江理奈 教諭は「1人の地球市民として、自分の行動が地球に影響を及ぼすということを知ってもらいたいです。一人一人が意識して自分にできることをすることで今後の未来が変わっていくということを感じてもらいたい」と話していました。
この授業では、生徒たちが学んだことを地域の人たちに伝える場を年末にも設けるということです。
国連で行われている議論を、身近な課題としてとらえていこうという教育現場の取り組みが注目されます。