放置された元旅館 老朽化で倒壊などおそれ 和歌山市が撤去へ

和歌山市雑賀崎で、放置されたままとなっている元旅館の建物が老朽化で倒壊などのおそれがあるとして、市は法律に基づいて自治体が代わりに取り壊す「略式代執行」の手続きに入ったことを明らかにしました。

撤去されるのは、和歌山市雑賀崎にある一部木造の鉄筋コンクリート3階建てで、延べ床面積が900平方メートル余りの建物です。
市によりますと、昭和50年ごろまで旅館「太公望」として営業していましたが、近くの高台に新館を建築したのを機に、使われなくなっていたということです。
また、平成26年に運営会社が経営破綻し、その後、所有者が亡くなると法定相続人が相続を放棄して所有者が特定できなくなり、放置されたままとなっていました。
市は、老朽化で倒壊などのおそれがあるとして、空き家対策の特別措置法に基づき、市内では初めて、行政の費用で取り壊す「略式代執行」という手続きに入りました。
23日から市のホームページなどで公告が行われ、ことし(令和5年)5月22日以降、およそ7000万円かけて解体工事を行う予定です。
この地域は、和歌浦を臨む港町で、イタリアの世界遺産のアマルフィに似ているとしてSNSなどで「日本のアマルフィ」として紹介され話題になっている場所です。
尾花市長は「本来は行政ではなく民間が撤去するのが本筋で、危険な空き家については早期に自ら撤去、回収してほしい」と話しています。