物価高の影響と今後の見通しは

原油高による輸送費の高騰などによって、食料品などさまざまな商品で値上げが相次いでいます。
さらに、急速に円安が進んでいて、専門家は、「今後、家計に及ぼす物価上昇はさらに大きくなる可能性がある」と指摘しています。

和歌山市のスーパーマーケットでは、輸入品の鶏肉や豚肉、それに、しゃけなどの魚が2割から3割ほど値上がりし、サラダ油やラップフィルムなどの日用品の価格も上がっています。
一方、価格を据え置いている商品もありますが、今後は、円安などの影響も受けて多くの品目でさらなる値上がりが予想されているということです。
このうち、小麦粉は値上がり前に入荷した在庫で価格を上げず、750グラム129円で販売されていますが、7月以降は、1割から2割ほどの値上げが検討されているということです。
買い物に訪れた20代の男性は、「高くなっていると感じているが、現在の情勢ではしかたがないと思い受け入れています」と話していました。
食品館サンキョー和歌山駅前店の越後谷浩行副店長は、「お客様にとって値上げは大変かと思いますが、できる限り企業努力をしていきたい」と話していました。
原油高による輸送費の高騰や円安の影響は、「国内産」にも影響が及んでいます。
和歌山県かつらぎ町の畜産農家では、特産のブランド和牛の「熊野牛」を75頭を育てています。
牛の餌として使われる飼料には、輸入された穀物が使用されていてロシアのウクライナ侵攻で価格が値上がりしたことなどから、▼とうもろこしや大豆を混ぜた「配合飼料」は、1キロあたり90円、▼粗飼料と呼ばれる草は1キロあたり65円と、いずれも価格は1.5倍に上がっているということです。
飼料は、牛の健康状態を保つために、変更することが難しいということです。
熊野牛を育てる楠本哲嗣さんは、「コロナの影響や原油高、さらに円安などで三重苦、四重苦です。この先が心配です」と話していました。
原油高による輸送費の高騰や円安の影響で、海外の食材を使う飲食店では、仕入れ価格のさらなる値上がりを懸念する声が上がっています。
和歌山市にあるフランス料理店では、ワインやフォアグラ、それにキャビアなど、食材のおよそ4割を海外から輸入していて、仕入れ価格の高騰が深刻となっています。
このうち、フランスから輸入しているオマールエビは、ことし3月ごろまでは1匹およそ500円でしたが、現在、1匹およそ1200円と仕入れ価格が2倍以上になっています。
また、トリュフは、これまで100グラムあたり3000円から4000円ほどだったのが、およそ5000円になったほか、多くの料理に欠かせないオリーブオイルも2割以上値上がりしているということです。
このため、店では、5月からディナーコースの価格を1000円値上げして提供していますが、それでも、物価高騰の影響は、十分に転嫁できていないということです。
この店では、新型コロナの感染状況が落ち着きはじめ、減っていた客足の回復を期待していたさなかに値上げを余儀なくされ、客を呼び込むために、食材の組み合わせや盛り付け方法などを工夫しているということです。
オーナーシェフの味村正弘さんは、「この店がオープンして、まもなく28年目になるますが、新型コロナと値上げのダブルパンチで、これまでになく深刻な状況です。お客さんに来てもらえるよう一生懸命考えて努力していきたい」と話しています。
物価高や円安が進む状況について、和歌山市にあるシンクタンク、「和歌山社会経済研究所」の藤本迪也研究員は、「本来、円安になれば、旅館やホテルなどの宿泊業にとってはメリットがあるはずだが、コロナ禍では、インバウンドの恩恵を享受できる事業者は少なく、大半の企業でデメリットを感じているのが現状だ」と分析しています。
そのうえで、「所得が上がらないなか、物価だけ上がっている状況で、今後、企業の価格転嫁の動きが本格化するとみられることから、家計に及ぼす物価上昇がさらに大きくなる可能性がある」と話しています。