「夜間中学」考えるシンポジウム 出身者が重要性訴え 宇都宮

さまざまな事情で、義務教育を受けられなかった人などが通う夜間中学について考えるシンポジウムが、15日、宇都宮市で開かれ、県内にある民間の夜間中学で学んだフィリピン出身の女性が、自身の経験をもとに夜間中学の重要性を訴えました。

栃木県では、かつて不登校だった人や外国籍の人などの学びの場となる県立の夜間中学が、再来年に県内で初めて設置されることが決まっています。
これを前に15日、宇都宮市で、夜間中学の意義や在り方について考えるシンポジウムが開かれ、県内にある民間の夜間中学で学んだフィリピン出身の村山エマリンさん(32)が、講演しました。
この中で村山さんは、母国では経済的な理由で進学を諦めざるを得なかったと涙ながらに語ったうえで、「栃木の民間の夜間中学で、自分を応援してくれる人たちに出会っていなければ、高校に進学することはできませんでした」と述べました。
そのうえで「夜間中学のおかげで学ぶことを諦めなくていい、夢に向かって一歩踏み出してみようと思えました」と述べ、夜間中学を設置することの重要性を訴えました。
村山さんは今、2人の子育てをしながら大学進学を目指しているということで、会場を訪れたおよそ100人の人たちは、気持ちのこもった講演に、静かに聴き入っていました。
講演を聞いた50代の女性は、「強い思いを感じました。県内には同じように学びたくても学べなかった人がいると思うので、夜間中学の取り組みを広げていってほしい」と話していました。