「古代の瓦が伝えること」 県内出土の瓦の展示会 栃木 下野

県内で出土した瓦の展示を通して昔の人たちの考え方などを知ってもらおうという企画展が、下野市にある県の施設で開かれています。

この展示会は、栃木県埋蔵文化財センターが「古代の瓦が伝えること」と銘打って企画したもので、会場には奈良時代から平安時代にかけて県内でつくられた瓦、30点余りが展示されています。
このうち、下野市の「下野国分寺跡」から出土した瓦には、「再生」の花とされたハスや良い兆しとされる雲などの文様が描かれています。
地域の中枢となる寺院や役所の建物でしか使用されない瓦に、当時の人たちがさまざまな願いを込めていたことが分かります。
また、8世紀中頃に建立された国分寺の多くの瓦には、「足利」という文字や那須郡の「那」という文字など下野国の各郡の名前が刻まれています。
国分寺の瓦の供給を各郡で手分けして担ったことを示していると考えられています。
一方、佐野市と栃木市にまたがる三毳山の周辺には「瓦窯跡」がたくさん見つかっています。
8世紀後半には、この一帯に窯を集約して瓦を生産する態勢が整備され、各地に供給したとみられています。
県埋蔵文化財センター普及活用課の石橋宏主任は、「瓦に残された痕跡から生産や供給の態勢を知ることができる。そういった部分にも注目してほしい」と話していました。