受刑者の社会復帰への就労支援でVR活用

刑務所に収容されている受刑者の社会復帰を支援しようと、VR=バーチャル・リアリティーを活用することで、刑務所内で、建設機械の操作などを疑似体験できる国内初めての取り組みが、さくら市で始まりました。

VRの取り組みが始まったのは、民間が運営に携わっているさくら市の刑務所、「喜連川社会復帰促進センター」です。
今月8日、取り組みの様子が公開され、参加した7人の受刑者が、VR用のゴーグルをとりつけて、ショベルカーの操作を体験しました。
ゴーグルの画面には建設現場の風景が映し出され、両手に持ったコントローラーを動かしながら画面の中の機械を操作して、土砂を運ぶ作業などを疑似体験できます。
この刑務所は比較的軽い罪で服役することになったおよそ1300人を収容していて、ふだんから企業の担当者が訪れて講話をしたり、飲食業や農業などの職業訓練を行ったりしてきました。
しかし、実際に職業体験ができる職種が限られていることもあり、国内で初めてとなるVRの取り組みを始めたということです。
国のまとめによりますと、刑務所を出たあと、再び犯罪に及んで服役する受刑者のうち、およそ7割が職に就いていなかったということで、出所後の社会復帰に向けた就労支援が課題となっています。
VRを体験した受刑者からは、「初めてで難しかった」とか「もっと練習して上手になりたい」などの声があがっていました。
法務省成人矯正課の森田裕一郎課長は、「就職して、自分の力で生活することが再犯防止の大きなポイントになるので、VRの取り組みを、今後も多くの施設で行えるようにしていきたい」と話していました。