明治時代初期の東京を描いた浮世絵展 栃木 那珂川町

文明開化によって、街の様子や人々の暮らしが大きく変化した明治時代初期の東京を、巧みな技法で生き生きと表現した浮世絵の展示会が、那珂川町で開かれています。

那珂川町の「馬頭広重美術館」には、、明治時代前半に活躍しながら、26歳の若さで亡くなった浮世絵師の井上安治が制作した絵はがきほどの大きさの作品を中心に、あわせて54点が展示されています。
このうち井上が描いた「浅草橋雨中之景」は、東京・浅草に今も残る浅草橋周辺の様子が描かれ、雨の中を行きかう人や人力車、それに建物などの様子が表現されています。
同じく井上の「上野動物園」は、明治15年に動物園ができたばかりのころの様子を切り取っていて、かつて園内にあった水族館を訪れている親子などが描かれています。
井上の浮世絵には、洋画の技法も取り入れられていて、水などに映る光と影が、巧みに表現されているということです。
訪れていた50代の男性は、「写実的な感じがして、当時の風景がよく分かります。影がリアルに感じられて、興味深いです」と話していました。
美術館の太田紗椰香学芸員は「光や影を繊細に表現したのが特徴です。明治時代にタイムスリップしたような気分で鑑賞してほしい」と話していました。
この展示会は、来月24日まで開かれています。