栃木県内のタクシー運賃 きょうから値上げ

栃木県内のタクシー運賃が、4日から1割程度、値上げされました。

4日から運賃が値上げされたのは県内におよそ90社あるすべてのタクシー会社です。
国土交通省関東運輸局によりますと、今回の値上げで、普通車の『初乗り運賃』は1.1キロ、500円から1キロ、500円に改定され、1割程度、値上げされる形となります。
また、走行距離ごとの『加算運賃』も改定され、これまでは271メートルで100円の加算でしたが、4日からは246メートルで100円と、運賃が加算される距離が25メートル、短くなりました。
値上げの背景には燃料費の高騰や運転手の人手不足などがあるということで、県全域の運賃の値上げは、3年前の令和2年12月以来です。
JR宇都宮駅前のタクシーの利用者からは戸惑いや「やむをえない」などさまざまな声が聞かれました。
このうち4歳の子どもを連れた母親は「これからはタクシーの利用頻度が減るかもしれません。駅まで子どもといっしょにタクシーを利用する機会が多いので困ります」と話していました。
50代の男性は「利用者としては安いほうがうれしいですが、物価が高騰している中で1割程度の値上げはやむをえないと思います」と話していました。

タクシー運賃の値上げについて、宇都宮市のタクシー会社は、運転手の不足や燃料価格の高騰によって経営が厳しくなっているとして、利用者に理解を求めています。

宇都宮市のタクシー会社、「矢野自動車」では、コロナ禍でタクシーの利用者が少なくなったことで、およそ2割の運転手が退職したということです。
そのあと、需要が回復し始めてから運転手の募集をしてもなかなか希望者が集まらず、現在は、会社が所有している60台の車両のうち、およそ2割を稼働させることができずに、売り上げが減少しているということです。
さらに、ロシアによるウクライナ侵攻や記録的な円安による燃料価格の高騰も経営を圧迫していて、この会社では以前、LPガスを1リットルあたり60円台で購入していましたが、ことしは80円台から90円を超えるほどに値上がりしているということです。
「矢野自動車」の高野憲市郎統括部長は、「燃料費は過去にない高い水準となっていて、経営はかなり厳しい。利用者の方には申し訳なく思うが、その分、サービスを向上させることで還元していきたい」と話していました。