近世日本の教育遺産群を世界遺産に 国際シンポジウム 京都

水戸藩の藩校だった「弘道館」や日本最古の学校として知られる「足利学校」などを、「教育遺産群」として世界遺産への登録を目指している水戸市など4つの市が、世界遺産に詳しい専門家を招いたシンポジウムを京都市で開きました。

水戸市の「弘道館・偕楽園」と栃木県足利市の「足利学校」、岡山県備前市の「閑谷学校」、大分県日田市の「咸宜園・豆田町」について、4つの市は「近世日本の教育遺産群」として世界遺産に登録されるよう取り組んでいます。
19日は世界遺産に詳しい専門家を招いて京都市でシンポジウムが開かれました。
このうち日本文化史が専門でコペンハーゲン大学のマーガレット・メール教授は、教育遺産を組み合わせて世界遺産登録を目指していることについて、「世界的なレベルで見ても学校と教育の取り組みに多様性があったことを証明するのではないか」と意義を強調しました。
一方、世界遺産登録の審査を行う「イコモス」の事務局長などを歴任したディヌ・ブンバル氏は、世界遺産登録には「独自性と普遍性」が必要だとした上で、それらを示すためには建物の保存だけでなく、残された資料の分析を進めることも大切だと指摘しました。
4つの市でつくる推進協議会の会長を務める水戸市の高橋靖市長は、「教育という見えないものを見えるものにするために、建物を大切に保存するとともに、当時どういう事象が起きたのか説明できるようにすることを課題として今後に生かしたい」と話していました。

足利市の早川尚秀市長は「4市でしっかり連携をしながら教育遺産の世界的な価値を高め、多面的な研究検討に引き続き取り組んでいきたい」と話していました。
備前市の吉村武司市長は「海外の目から見たアドバイスが非常に参考になった。観光面や教育面から考えると、世界遺産に持っていく努力をする価値は十分あると思う」と話していました。
日田市の椋野美智子市長は「咸宜園は建物がそれほど多く残っていないが、文書資料でその時代における価値を証明するというヒントももらったので、ぜひ市民とともに取り組んでいきたい」と話していました。