那須町 雪崩死亡事故の裁判 当時の高校生が証言 宇都宮地裁

6年前那須町で登山の訓練中に高校生らが雪崩に巻き込まれ8人が死亡した事故で業務上過失致死傷の罪に問われている教諭ら3人の裁判が開かれ、死亡した8人とともに訓練に参加していた当時の生徒が「引率の教諭に先に進んではいけないと言われたら進まなかったと思う」などと証言しました。

平成29年3月、那須町の茶臼岳で高校の山岳部が集まって登山の訓練をしていたところ雪崩に巻き込まれ、生徒7人と教員1人のあわせて8人が死亡し多くの生徒がけがをしました。
この事故をめぐっては生徒の引率などにあたった猪瀬修一被告(57)菅又久雄被告(54)渡辺浩典被告(60)の教諭ら3人が業務上過失致死傷の罪に問われています。
23日宇都宮地方裁判所で開かれた裁判では検察側の証人として、訓練に参加し雪崩に巻き込まれた当時の生徒3人が証言しました。
このうち雪崩の起きた斜面で列の先頭付近を歩いていた当時2年生の生徒は直前の行動について、先頭付近の生徒で話し合い、先に進みたいという希望を引率していた菅又被告に伝え、許可を得たうえで先に進んだなどと証言しました。
また、「引率の教諭に雪崩の危険を示唆されたり、先に進んではいけないと言われたりしていたら進まなかったと思う」などと話しました。
一方で検察官や弁護士から、菅又被告から「先に進まずに引き返すように」という指示があったかどうかを問われると、「記憶があいまいで断言できない」と証言しました。
次回の裁判は来月21日で、引き続き検察側の証人尋問が行われます。

当時の生徒3人が裁判で証言したことについて、事故で高校1年生だった息子を亡くした奥勝さんは、「息子と一緒に山に登っていたみなさんが成長した姿で証言してくれて胸がいっぱいになりました。当日の様子が克明に分かり感謝しています」と話していました。
教員だった息子を亡くした毛塚辰幸さんは「3人が証言台に立つには勇気が必要だったと思う。自分の知っている真実を話してくれて一緒に登った生徒どうしの仲間意識を感じました」と涙ぐみながら話していました。