カミキリムシ被害 栃木県内地域拡大 桜の木が約8割

サクラやウメ、モモなどの木に深刻な被害を与える外来種のカミキリムシ、「クビアカツヤカミキリ」による被害が、昨年度は県南地域だけでなく、さくら市にまで広がり、県が対策を呼びかけています。

「クビアカツヤカミキリ」は、中国やベトナムなどが原産の大型のカミキリムシで、国内では平成24年に愛知県で初めて確認され、関東や関西、それに四国などでサクラやウメ、モモなどの木に被害を与えることが確認されています。
県によりますと、栃木県内では令和3年度まで、足利市を中心に、佐野市や栃木市などの県南地域で確認されていましたが、昨年度はさらに、宇都宮市、鹿沼市、それにさくら市にまで、被害が広がったということです。
果樹園を除く公園や住宅地などで新たに被害を受けた樹木の数も、令和3年度は979本でしたが、昨年度は2485本と急増していて、このうちサクラの木がおよそ8割を占めているということです。
これを受けて県は、自治体や果樹園の経営者などに対し、被害を受けた木を早めに伐採したり、農薬や飛散防止ネットを使用したりするなどの対策を取るように呼びかけています。
県自然環境課では「繁殖力が強いので、今後さらに被害が拡大する可能性があり、早期の発見と駆除ができるように呼びかけていきたい」と、しています。

新たな方法を考案した栃木県農業試験場の春山直人主任研究員によりますと、クビアカツヤカミキリは樹皮の隙間に大量の卵を産み付けますが、大きさがごま粒大であるため、肉眼で見つけることは、難しかったということです。
春山研究員は、「ブラックライトがあれば簡単に発見できるので、ゴーグルをつけて使用し、見つけた卵は先のとがった硬いものでつぶしたり削り取ったりしてほしい。農家だけでなく一般の方にも観察してもらい、みんなで被害を食い止めてもらいたい」と話していました。