脱炭素社会実現へ「くん炭」活用する研究スタート 栃木県
脱炭素社会の実現に向け、栃木県は、稲のもみ殻をいぶして作った肥料の「くん炭」を活用し、大気中に放出される温室効果ガスの量を減らす新たな研究をスタートさせました。
栃木県は、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることを目標に掲げていて、この実現に向けて、今年度、農業分野での新たな研究を行うための予算を組みました。
県が始めたのは、国も推奨する稲のもみ殻をいぶして作った肥料の「くん炭」を活用し、大気中に放出される二酸化炭素などの温室効果ガスの量を減らす研究でこのくん炭を作る機械が先月、県の農業試験場に導入されました。
県によりますと、もみ殻は、多くの場合、田んぼに埋められ、微生物によって分解されると温室効果ガスが大気中に放出されますが、くん炭にして炭化させて土に混ぜ込むと分解されにくくなり、大気中への放出を減らす効果が期待できるということです。
また、この温室効果ガスの排出削減量は市場で取り引きできる「クレジット」に換算でき、農家はこれを企業や自治体などに売却することができるということです。
県が導入した機械は、一度におよそ200リットルのもみ殻を2時間ほどでくん炭にすることができるということで、研究では、二酸化炭素がどれぐらい土壌中に残るかや、いぶす適正な温度や時間、それに肥料として植物の栽培に適した量などを調べるということです。
県農政部の経営技術課の人見良実さんは「温室効果ガス削減の取り組みの1つとして炭を畑に入れるというのは、どんな農家でもできると思う。カーボンニュートラルを実現しつつ農家にメリットが提供できる取り組みを推進したい」と話していました。