熊野古道世界遺産に登録から20年で江戸時代の古文書を展示 

熊野古道がことし、世界遺産登録から20年となるのに合わせて、三重県尾鷲市の公民館では、江戸時代の古道について記した古文書を常設展示のコーナーで公開し始めました。

尾鷲市立中央公民館では、三重大学の塚本明教授らが調査した江戸時代の記録「尾鷲組大庄屋文書」など合わせて31点を常設展示で公開しています。
このうち、馬越峠に関する古文書には、峠道の修繕を担っていた地元の人たちが対応できなくなり、新しく道をつけかえてほしいと紀州藩に依頼したのに対し、藩が120人分の米を支給して石畳の道に仕立てると回答した記録が残っています。
文書からは、道の維持に関する地元の人の苦労や馬越峠の石畳がこの時期にできた可能性があることなどを読み取れます。
また、八鬼山峠に関する古文書では、峠道で僧侶が盗賊に襲われたものの、撃退したことが記されていて、当時は危険を伴いながら熊野古道を通っていたことがうかがえます。
尾鷲市教育委員会の学芸員、脇田大輔さんは「古文書をみて昔の人の旅に思いをはせながら実際の熊野古道を歩いてほしい」と話していました。
この文書は、来年3月までは展示される予定です。