覚せい剤取締法違反 津地裁 フィリピン国籍女性に無罪判決

3年前、三重県松阪市で覚せい剤を知人に譲り渡したなどとして覚せい剤取締法違反の罪に問われた女性について、津地方裁判所は、無罪を言い渡しました。

起訴状などによりますと、フィリピン国籍の女性(43)は3年前の8月、松阪市内で知人に覚せい剤を譲り渡したほか、同じ年の11月に覚せい剤を使用したとして、覚せい剤取締法違反の罪に問われました。
裁判で検察は「携帯電話に薬物密売と思われるメッセージのやりとりがあり、携帯電話は持ち主が使用することが通常なので、被告がメッセージをやりとりしたと強く推認される」などと主張し、懲役3年を求めていました。
13日の判決で、津地方裁判所の西前征志裁判長は「当時、被告以外の者が携帯電話を持ち出して使用することは可能だった。被告が覚せい剤を譲り渡したと認めるには合理的疑いが残る」と指摘しました。
また、覚醒剤の使用について「被告が知らない間に覚醒剤を交際相手が摂取させたなど、被告人が使用したとはいえない特段の事情が存在する可能性が否定できない」と指摘しました。
そのうえで、覚醒剤の譲り渡し、使用、いずれについても無罪を言い渡しました。
本庄美和子弁護士は「捜査機関の証拠からは被告がやったとは言えないと主張していた。無罪判決が出て良かった」と話していました。
一方、津地方検察庁の小島健次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議のうえ適切に対応したい」とコメントしています。