多度大社「上げ馬神事」壁ほぼ撤去 “動物虐待”批判のなか

馬が急な坂を駆け上がる、三重県の多度大社の「上げ馬神事」について、動物虐待だとの批判が出るなか、馬がけがをしないよう坂の最後で乗り越える高い壁がほぼ撤去されたことがわかりました。神事の重要な一場面とされてきたことから、神社などは、今後の神事のあり方などをさらに検討することにしています。

桑名市にある多度大社の「上げ馬神事」は、南北朝時代から続くとされる伝統の神事で、馬に乗って急な坂を駆け上がり、最後の高さ2メートル近くある壁を乗り越えた回数で農作物の作柄などを占います。

去年の神事で馬が転倒して骨折し、殺処分となったことなどから、動物虐待だという批判が神社などに寄せられ、馬や人がけがなどをしないよう地元の人たちが対策を協議してきました。

関係者によりますと、その対策として馬が乗り越える壁の中央部分を撤去し傾斜を緩やかにしたということです。馬が壁を乗り越えるのは神事の重要な一場面とされてきたことから、地元の人たちの反応も複雑だということで、神社などは、神事に参加する各地区の意見も聞きながら今後の神事のあり方などについてさらに検討することにしています。

《地元の人たち “さみしい”》

神事が行われる坂の頂上の壁がほぼ撤去されたことについて、地元の人たちからは「さみしい」とか「神事としての意味がなくなってしまう」などの声が出ています。

このうち、長年神事に関わってきたという地元の男性は「今月2日に初詣に行ったときに壁の状況を見ました。上げ馬神事は、最後の壁を乗り越えられるかを挑戦する神事なので、壁がなくなってしまうと、正直、張り合いがなくなってしまい、さみしいです」と話していました。

また、別の地元の男性は「やはり壁がなくなると神事でなくなってしまうと感じる。このままだとみんなが神事をやめてしまうのではないかと周りの人とも話している」と話していました。