伊勢市駅前に新ホテル 外国人観光客を取り込め!

新型コロナの行動制限の緩和などを受けて、回復しつつある外国人観光客を取り込もうと、三重県伊勢市のホテルが、従来よりも広い客室を備えた別館を、7月オープンするのを前に、12日、報道機関などに内部が公開されました。

新たに別館をオープンするのは、伊勢市駅の南側にあるホテル「三交イン伊勢市駅前」です。
このホテルでは、本館の隣に新たに建設されたビルの9階と10階を借りて、7月19日に別館としてオープンします。
37ある部屋すべてがツインルームで、荷物の多い外国人観光客がゆったり過ごせるよう、このホテルの従来の部屋と比べて1.7倍以上の広さにしたということです。
また、家族やグループでの利用を想定し、追加のベッドを入れたり、布団を敷いたりすることで、最大6人が泊まることができます。
中には、2つの部屋をつなげて使える部屋もあるということです。
宿泊料金は、1部屋につき1泊あたり2万5000円から4万円で、このホテルチェーンがこれまで主にターゲットにしてきたビジネス客向けの部屋より高額ですが、質の高いサービスで外国人観光客を取り込みたいということです。
三交イン伊勢市駅前の小川哲也支配人は「荷物が多い外国人観光客に対応した広い部屋を用意しました。コロナ禍前の水準ではないが、インバウンドも増えているので多くの利用を期待したい」と話していました。

伊勢市では観光客の滞在時間を増やすことで、観光消費額の増加を図りたい考えですが、周辺の自治体に比べて、宿泊施設の数や収容人数が少ないのが課題となっています。
伊勢市によりますと、市が把握している市内の宿泊施設数は63で、収容人数は合わせて5449人だということです。
これに対し、鳥羽市では宿泊施設数が136、収容人数が1万2899人、志摩市では宿泊施設数が143、収容人数が1万2479人と、伊勢市の2倍以上となっています。
また、市によりますと、去年1年間に市内を訪れた観光客は452万人で、市内に宿泊したのは12.8%の58万人と推計されるということです。
観光客の8割以上が市内に宿泊しない理由について、市では、観光客が伊勢神宮以外に立ち寄る場所が少ないことや、市内で観光客のニーズに合った宿が提供できていない可能性があると分析しています。
伊勢市観光振興課では「市としてインバウンドを推進する国の補助金を活用して、宿泊施設の高付加価値化を進めている中で、今回のようなグレードの高い部屋が増えることはありがたい」と話しています。