和菓子の老舗が名物の商品を特急列車使って商品

運送業界の人手不足を背景に、三重県伊勢市の和菓子の老舗が、名物の商品を、特急列車を使って、販売店がある名古屋まで配送する取り組みを始めました。

新たな取り組みを始めたのは、伊勢市の和菓子の老舗「赤福」です。
会社の名物の商品は、三重県内だけでなく、名古屋駅周辺の販売店でも土産物として人気で、会社では、これまで1日最大5回、トラックや商用車を使って、工場のある伊勢市から名古屋まで、商品を配送していました。
しかし、運送業界の人手不足が今後いっそう深刻化すると見込まれることから、このうち1回について、平日の週2日、近鉄の特急列車を使って運ぶことにしました。
5日は、伊勢市の五十鈴川駅に、できたての商品が運び込まれ、午後2時すぎに特急列車が到着すると、かつては車内販売のワゴンが置かれていた空きスペースに積み込まれました。
そして、約1時間半後の午後3時半ごろ、近鉄名古屋駅に到着すると、ホームで待っていた会社の従業員が、駅構内のコンビニエンスストアに納品していました。
会社によりますと、商品が固くならないよう、配送中の温度は、18度から25度の間に保つ必要があり、空調の効いた特急の車内が、配送に適しているということです。
また、配送時間は約30分短縮できるほか、配送時の二酸化炭素排出量を、年間4000キログラム、減らす効果もあるということです。
赤福伊勢営業所の金澤大輔所長は「鉄道輸送は、二酸化炭素排出量や配送コストなど経費削減の効果が大きい。名古屋駅は関東方面からの観光客が多く利用するので、できたての商品を多くの人に食べてもらいたい」と話していました。
近鉄企画推進部の井上貴昭課長補佐は「伊勢では有名なお菓子を鉄道で運ぶことで、伊勢志摩地域を盛り上げたい」と話していました。