NPOが動物福祉から“上げ馬神事”考えるセミナー

「動物虐待ではないか」と議論になっている三重県桑名市の多度大社の伝統行事「上げ馬神事」について、動物福祉の観点から神事を考えるセミナーを岐阜市のNPO法人が開きました。

桑名市の多度大社で行われている「上げ馬神事」は、若者が馬に乗って急な坂を駆け上がり、頂上にある壁を乗り越えた回数で農作物の作柄などを占うものです。
ことしの神事で参加した馬が骨折し殺処分となるなど、「動物虐待ではないか」と議論になっていることを受け、岐阜市のNPO法人「人と動物の共生センター」は、24日、オンラインでセミナーを、開きました。
セミナーでは、アニマルウェルフェア国際協会の上野吉一会長が、馬の種類や個体差による適性や能力の違いが十分考慮されていないとか、「障害馬術」と同じ程度の高さの壁を十分な技量がない騎手に乗り越えさせているなどと、動物福祉の観点から不適切な点があると指摘しました。
その上で、「馬を大切にするとともに、コミュニティーにとっての文化や価値にも目を向け、最大限バランスがとれるやり方が何かを、地元の人たちが中心になり検討することが重要だ」と呼びかけました。
セミナーを開いたNPO法人の奥田順之理事長は「感情的に議論するだけでは、解決に向かわない。何が問題なのか、何を残していくのかを理性的に考えることが大切だ」と話していました。