「上げ馬神事」の事故受け坂の構造を見直す方針 多度大社

三重県桑名市の多度大社で行われる伝統行事「上げ馬神事」で、ことし馬が骨折し、殺処分となったことなどを受けて、19日、神事での事故の防止に関する協議会で神社などは坂の構造を見直す方針を決めました。

「上げ馬神事」は、680年以上前の南北朝時代から続くとされる伝統の神事で、若者が馬に乗って急な坂を駆け上がり、頂上の壁を乗り越えた回数で農作物の作柄などを占います。
5月の神事では、参加した馬1頭が転倒して骨折し、獣医師による殺処分の対応が取られ、県によると過去15年間で、ほかにも合わせて3頭が神事の際に骨折し殺処分となっていたことが分かっています。
19日、多度大社で神事に関する「事故防止対策協議会」が非公開で行われ、県や市、警察の担当者や地元の代表などが出席しました。
協議会では、「動物虐待ではないか」という声が県などに多数寄せられていることや、ことしの神事で馬をたたくような不適切な行為が確認されたことなどが報告されたということです。
その上で、動物愛護の考え方に基づき、社会に受け入れられる形に変えることが望ましいとして、壁を含む坂全体の構造を見直すことを県が提案し、多度大社や地元の代表は提案を受け入れる方針を決めたということです。
具体的な改善策は、関係者で協議が続けられ、来年の神事に向け、遅くともことしの年末までに示したいとしています。

また、これまでNHKでは神事で骨折したあと死なせる対応がとられた馬について三重県の見解を元に「安楽死」とお伝えしてきましたが、6月14日、県が「安楽死の法律上の定義がなく殺処分の表現に統一する」という見解を示したことから、今回のニュースからNHKでも「殺処分」という表現にあらためました。