「不適切行為」の認定こども園に県と桑名市が特別監査 

三重県桑名市の認定こども園で、保育士が園児に長時間、給食を食べるよう強要するなど、不適切な行為が確認された問題で、県と市は保育の実態などを調べるため、9日、園に特別監査に入りました。

桑名市の社会福祉法人が運営する「長寿認定こども園」では、保育士が給食をおやつの時間まで長時間食べるよう強要したことが複数回あったほか、決まった時間にしかトイレに行かせなかったり、外国籍の子どもに対して厳しい口調で怒ったりするなど、6項目の不適切な事案が、市の調査で確認されています。
これを受けて、三重県と桑名市は、9日午前、法律に基づいて、合同で特別監査に入りました。
特別監査には県から4人、桑名市から6人が参加し、前の園長だった社会福祉法人の理事長や現在の園長など7人から、保育の実態や園の運営体制などについて、聞き取りなどを行ったということです。
この中でこれまでに確認された6項目以外にも、不適切な行為がある可能性があることが、分かったということです。
三重県福祉監査課の奥村勝己専門監は「市と連携して、引き続き監査を行い、全容の解明を進めたい」と話していました。
県と市では、監査が終わりしだい、園や運営法人に対して改善を求めていく方針です。
このほか、市では、弁護士などからなる第三者委員会を設け、市の対応の検証や再発防止策の検討を行っていて、7月中にも結果をとりまとめることにしています。

今回、特別監査が入った桑名市のこども園に、以前勤務していた保育士の女性が、NHKのインタビューに応じました。
女性は、勤務していた当時、不適切な保育をたびたび目撃したということで、「『おしっこがもれて赤ちゃんみたい』などと、園児を馬鹿にするような発言を耳にした。言葉が強かったり子どもに対しぶっきらぼうな保育士もいて、ここまでやるんだ、やり過ぎだと感じていた」と話していました。
一方で、こうした行為を目撃しても、保育士たちは声を上げられなかったということで、「上下関係が厳しく、先輩がここまでやるんだったら後輩もここまではやってもいい、この園では、ここまでやるのだが正解なんだと思ってしまうような環境があったのではないか」などと話し、保育士が置かれていた環境にも問題があったと指摘しました。
さらに「子どもには壁や床に傷をつけるようなおもちゃを与えなかったり、汚れた手で何かを触わらないよう徹底されていて、守られなければ、誰がやったのかの犯人捜しが始まった。園児のためではなく、園舎をいかにきれいに美しく保つかを最優先に考えていた。子どもの気持ちや表現したいことを最大限いかしたいと思うような保育士は、ここではかなわないと考えてやめていく人も多かった」などと、保育環境を見て園を去る保育士が多かったことも証言しました。
NHKでは、こども園に複数回にわたって取材の依頼をしましたが、9日までに返答はありませんでした。