JR福知山線脱線事故で大けがの女性が安全対策の大切さ訴える

19年前に起きたJR福知山線の脱線事故で大けがを負った女性が、10日、高岡市内で企業の安全管理者などに講演を行い、命に思いを寄せて安全対策をとることの大切さを訴えました。

この講演会は、7月の「全国安全週間」を前に開かれ、高岡市の会場には企業で安全管理を担当する人など200人あまりが集まりました。
講師には、平成17年に起きたJR福知山線の脱線事故で、列車の2両目に乗っていて大けがをした浅野千通子さんが招かれ、はじめに「安全の奥にどれくらい命の存在を感じているか。命の尊さをどれくらい考えているかが大切です」と訴えました。
浅野さんは、事故で全身の骨を折り9回もの手術が必要になったうえその後、双極性障害と診断されたことを明かし、「けがから回復したら事故を乗り越えられると思っていましたが心がぐちゃぐちゃになりました。気づいたときには、息をしている自分さえも責めていました」と話し事故がもたらす影響の深刻さについて語りました。
そのうえで、きょうを1日を安全に過ごせたことは当たり前ではなく、この講演がみなさんの行動にいかされることを願いますと訴えていました。
講演を聞いた高岡市内のガス会社に勤務する男性は「当事者にしかできない話だと感じました。きょうの話を社内でも共有して、安全管理にいかしたいです」と話していました。