南砺市利賀村一部で沢水減少し水道でず 掘削作業との関連調査

富山県南砺市利賀村の一部の地区で、上水道の水源にしている沢水が減少し水道が出なくなったことが23日、確認されました。
水源の近くではダム建設に向けて工事車両を通すための掘削作業が行われていることから、国土交通省と市が関連などを調べています。

国土交通省利賀ダム工事事務所と南砺市によりますと、23日午前8時ごろ、南砺市利賀村北原地区の民宿から「水道の水が出ない」と市に連絡がありました。
その後、市などが調べたところ上水道の水源にしている沢水の水量が減少しているのが確認されたということです。
このため、国土交通省と市の職員など計10人余りが午前10時ごろに集まり、水源となる沢水の流れ出ている状況や原因を確認するため、機材などを手に持ち険しい斜面を登っていき調査に向かいました。
北原地区と長崎地区にある住宅や民宿など8軒は、この水源をもとにした水道を利用していますが、水道が出ないため市では23日から給水車で水を補給するなどの対応をとっているということです。
南砺市利賀村北原地区で民宿を営む70代の男性は「きのうの朝、水道が出なくなり、客に迷惑をかけないか心配でした。山菜の採れる時期で水を使うことも多いので、今までどおりに水が使えるようになってほしいです」と話していました。
北原地区の周辺では令和13年度の完成を目指して「利賀ダム」の建設工事が進められていて、去年9月からダム建設に向けて工事車両を通すための掘削作業が行われていますが、地区の水源の沢が掘削作業をしている250メートルほど上部にあり今回の事態を受けて作業を中断しました。
沢水の減少と掘削作業の関係は今のところわかっていませんが、国土交通省と市は連携して関連や原因を調べています。
国土交通省利賀ダム工事事務所の河村陽一副所長は「沢水の水量の変化と掘削作業の因果関係はわかっていないが、住民の生活用水の確保のために給水活動をしたい。地形をみると、沢がトンネルの上部に位置しているとみられる。地下水の水量や天候のデータを見て、沢水の水量の変化とトンネル工事の関係を調べたい」と話していました。
【利賀ダム 平成5年から建設進む】
南砺市で建設が進められている利賀ダムは、国土交通省が庄川流域の治水対策を主な目的として平成5年から庄川水系の「利賀川」に建設を進めているものです。
ダムは高さが112メートル、川の水をせき止めた右岸から左岸までの幅が255メートル、総貯水量は3110万立方メートル、総事業費は総額1640億円を見込んでいて、7年後の令和13年度の完成を目指しています。