近代日本画の巨匠・川端龍子の特別展 〜県水墨美術館〜

近代日本画の巨匠の1人とされる川端龍子の特別展が富山市の県水墨美術館で開かれています。

川端龍子は大正から昭和にかけて活躍した画家で、近代日本画の巨匠の1人とされています。
富山市の県水墨美術館で開かれている特別展では、約90点が展示されています。
このうち「龍巻」は縦3メートル、横3.5メートルの作品で、空に巻き上げられたサメやクラゲなどが波しぶきとともに降ってくる様子が大胆に描かれています。
この作品は昭和8年に制作され、この年に日本が国際連盟を脱退して国際的な孤立を深めるなど、切迫した社会状況が表現されているといいます。
また終戦した昭和20年に制作された「爆弾散華」は、戦争の犠牲者への弔いの思いが込められた戦争画で爆弾のさく裂で吹き飛ばされたトマトやカボチャなどが、金ぱくで表現された爆風とともに美しくもはかなく描かれています。
この作品は終戦直前に、自宅が爆撃を受けて使用人の2人が死亡し、龍子と家族が九死に一生を得た経験をもとに、唯一焼失を免れた画室で制作されたということです。
丸山多美子学芸員は、「龍子は時代を描く画家であり、当時、龍子が感じたことが自由に描かれているので、展示で体感してほしい」と話していました。
「川端龍子展」は、県水墨美術館で5月26日まで開かれています。