地震 台湾ツアー客から家族友人を心配する声

台湾東部を震源とする地震が発生し、現地で被害が広がる中、観光で県内を訪れている台湾のツアー客からは家族や友人を心配する声が聞かれました。

日本時間の3日午前8時58分ごろ、台湾東部の花蓮県沖約25キロを震源とする地震が発生し、台湾の消防当局によりますと花蓮県では死者やけが人がでているほか複数の建物が倒壊して建物の中に取り残された人がいるということです。
こうした中、射水市にある観光施設、「新湊きっときと市場」には、3日も台湾から多くのツアー客が訪れていて、家族や友人を心配する声が聞かれました。
このうち大きな被害がでている花蓮県在住の女性は、「急いで家族や友達に連絡し、無事が確認できましたが、いろいろな建物が倒れて損失が出てしまっています。いま日本にいるので、何もできない無力感を感じます」と話していました。
そのうえで「けさの大きな地震のあとにも小さな地震が発生しているのでより大きな災害が起きるのではないかと不安です」と話していました。
また、台湾南部にある高雄市在住のツアーガイドの男性は、「みんな慌てて自分の家族などに連絡していましたが、無事が確認できました。スケジュールの変更はいまのところありません」と話していました。
一方で、「新湊きっときと市場」は、能登半島地震による液状化の被害から復旧し、3月29日に全面再開したばかりで、今回の地震による台湾からのツアー客の減少を懸念しています。
施設の料理長を務める宮正一さんは、「現地の旅行会社にも問い合わせたところ、いまのところは問題ないということでした。ただ、影響が長引くと、今後は客足が少し鈍ってくると言われました」と話していました。
【YKK 桃園市の工場停止】
黒部市に拠点を置く、YKKによりますと、台湾の桃園市には、ファスナーなどを生産しているグループ会社、「YKK台湾社」の工場があり、今回の地震の影響で稼働を停止したという連絡が入ったということです。
この工場では天井の板が落下したり、配管が破損したりしましたが、従業員などの人的な被害は報告されていないということです。
YKKは「被害の全容はまだわかっておらず、状況を確認している」と話しています。
県内企業の海外進出などを支援している公益財団法人、「富山県新世紀産業機構」によりますと、県内に本社や事業所があって台湾に進出している企業はおととし3月時点で少なくとも10社あるということです。
これらの企業の現地での被災状況はまだわかっておらず、県の商工労働部が調査を進めているということです。【「富山県として台湾の皆さんに心を寄せていきたい」】
台湾東部沖で起きた地震について新田知事は「台湾は富山県と関係の深い地域であり心からお見舞いを申し上げる。能登半島地震では台湾からも本当に大きな支援を頂いており富山県としても台湾の皆さんに心を寄せていきたい」と述べました。
【台湾からの臨時便「今のところ運航予定変更なし」】
富山空港と台湾の台北を結ぶ定期便は運休していますが、4月15日から5月29日にかけて、台湾からのインバウンド客向けの臨時便が計32便運航される予定です。
今回の地震を受けて、県が臨時便を運航するチャイナエアラインの名古屋支店に確認したところ、「いまのところ運航予定に変更はない」と返答があったということで、引き続き情報収集を進めています。