生活保護減額訴訟 引き下げを取り消す判決 富山地裁

生活保護費を2013年から段階的に引き下げられ、最低限度に満たない生活状況を強いられているなどとして、富山市内の受給者が国と富山市を訴えた裁判で、富山地方裁判所は原告の訴えを一部認め、引き下げを取り消す判決を言い渡しました。

生活保護の支給額について国は、当時の物価の下落などを反映する形で、2013年から2015年にかけて最大で10%引き下げました。
これについて富山市内の受給者5人が憲法で保障された最低限度に満たない生活状況を強いられているなどとして、国に賠償を求めるとともに、富山市が行った支給額の引き下げを取り消すよう求めていました。
24日の判決で富山地方裁判所の松井洋裁判長は「生活扶助基準の調整は国民の消費実態に準じて行うべきだった。統計など客観的な数値などとの整合性は認められず、厚生労働大臣の判断には裁量権の逸脱や濫用が認められ引き下げの処分は違法だ」として、原告の訴えを認めて、支給額の引き下げを取り消す判決を言い渡しました。
一方で賠償については、「引き下げ処分が取り消されることで、精神的苦痛はやわらぐ」などとして訴えを退けました。
原告の弁護団によりますと、同様の集団訴訟の1審判決は全国で今回を含めて25件で、引き下げを取り消したのは今回が14件目です。