ウクライナ女性の句集監修 黛まどかさんが講演 滑川市

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中ウクライナの女性が詠んだ俳句集を発表した俳人の黛まどかさんが富山県滑川市で講演し、「戦禍でも文化芸術を通して人としての尊厳を保ち続けていると感じた」と、思いを語りました。

16日、富山県滑川市で俳人の黛まどかさんが「ウクライナ、地下壕から届いた俳句」というテーマで講演し、俳句の愛好家など約80人が参加しました。
黛さんは、ウクライナ東部ハルキウ出身で、故郷を追われて避難生活をするウラジスラバ・シモノバさんが読んだ俳句を翻訳、監修して、ことし8月に句集を発表しました。
黛さんはシモノバさんの句として、「引き裂かれし カーテン夏の 蝶よぎる」と、「いくたびも 腕なき袖に 触るる兵」という句などを紹介しました。
そのうえで「繊細な情景を切り取り、悲劇を悲劇で終わらせず、明るく美しいものに展開することで、より深い悲しみが伝わってくる」と話しました。
そして「戦禍で詠まれた俳句に言霊を感じた。俳句は余白を想像するので、においが立ち、温度が伝わり、戦争のむごさをいっそう浮き彫りにしている。戦禍でも文化芸術を通して人としての尊厳を保ち続けていると感じた」と思いを語りました。
講演を聞いた富山市の70代の男性は「ウクライナの戦禍が続く中でも自分の置かれた状況をしっかり見据えて俳句が詠まれていて感動しました」と話していました。