過重労働で自殺 会社側に6200万円余の賠償命令

4年前、高岡市のガソリンスタンドの運営責任者の男性が自殺したのは会社側が心身の健康を損なわないよう注意する義務を怠ったためだとして、遺族が賠償を求めた裁判で、富山地方裁判所高岡支部は会社と当時の社長にあわせて6200万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。

高岡市の石油販売会社で課長を務め、ガソリンスタンドの運営責任者だった当時58歳の男性は4年前に自殺し、その後、労働基準監督署で労災と認定されました。
遺族は、男性が販売ノルマを達成しようと長時間労働をして精神障害を発病し、自殺したのは会社側が心身の健康を損なわないよう注意する義務を怠ったためだとして、会社と当時の社長に対し、あわせて約7600万円の賠償を求めました。
29日の判決で富山地方裁判所高岡支部の杉本宏之裁判長は「男性は精神的な緊張が強いられる業務や過重な長時間労働に従事したことでうつ病を発病し自殺に及んでいて、会社側の注意義務違反と自殺の間には相当因果関係が認められる」と指摘しました。
そのうえで「会社側は業務に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積しないよう注意する義務を負っていたにもかかわらず、男性に過重な業務に従事させた。また社長は業務を軽減する措置をとらず重大な過失があった」として、会社と当時の社長に対してあわせて6200万円余りの支払いを命じました。
亡くなった男性の、33歳の長男は高岡市で開いた会見で、「父はなぜ自殺したのかと考え続け苦しんできましたが、今回の判決で会社の責任が認められ、救いとなりました。大変つらい状況の中、勤勉に働いていた父にお疲れさまでしたと言いたいです」と話していました。
一方、石油販売会社は取材に対し、「今後の対応は判決の内容を精査して判断したい」と話しています。

《相談窓口「こころの電話」》
富山県は心の健康に関する相談窓口「こころの電話」を設けています。
平日の午前9時半から午後5時までは電話番号、076−428ー0606。
平日の午後5時から翌日の午前9時半までと、土曜日、日曜日、祝日などは0570−074−333です。
厚生労働省もホームページなどで紹介していて、電話での主な相談窓口は「よりそいホットライン」が0120−279−338、つむぐ、ささえる、「こころの健康相談統一ダイヤル」が0570−064−556、おこなおう、まもろうよ、こころとなっています。