城端線と氷見線 経営移管 計画開始からおおむね5年後

路線の維持や利便性の向上が議論されてきた城端線と氷見線は、再構築の実施計画の開始からおおむね5年後にあいの風とやま鉄道に経営が移管される見通しとなりました。

県庁で、29日に開かれた4回目の会合には、県と沿線の4つの市、それにJR西日本などが出席し、城端線と氷見線の再構築に向けた実施計画の案が示され、JR西日本が150億円を拠出することを明らかにしました。
また、実施計画案のなかでは、あいの風とやま鉄道がJR西日本から城端線と氷見線の経営を引き継ぐ際の施設整備にかかる費用として約342億円を想定していてこのうち新型鉄道車両はあわせて34両を176億円をかけて導入し、車両の前面にオリジナルのデザインを取り入れるということです。
さらに事業主体をJR西日本からあいの風とやま鉄道に変更するのは再構築の実施計画が開始される来年2月からおおむね5年後で新型鉄道車両の導入がすべて完了する時期としています。
運行本数は、2つの路線とも1日あたり60本程度に増やし、日中に走る列車は一定の間隔で発着するパターンダイヤを導入することにしていて必要な資金は約45億円と見込んでいます。
こうした取り組みで、利用者数を令和4年度の1日あたり約9600人から令和15年度には1日あたり約2400人増加し、1万2000人にする計画です。
29日に示された実施計画案のとおりとなれば路線の収支は改善するものの、全体の収支は令和15年度でも7億円余りの赤字になるということです。
国の新たな支援制度の要件となる実施計画の案は年内に最終的な取りまとめが行われ国に提出される見通しです。

《JR西日本 150億円を拠出》
JR西日本は城端線・氷見線の再構築に向けて150億円を拠出することを明らかにしました。
実施計画の実現に必要な資金の一部として使途については問わないする一方、計画が変更または延長されても拠出金の増減はしないとしています。
JR西日本金沢支社の漆原健支社長は「城端線・氷見線が安全で持続可能な交通として再構築できるよう、JR西日本としてどのような汗がかけるか検討し考えをまとめた。今後の地域交通のあり方のリーディングケースになると考えており、実施計画の実現に向けて最大限努力していきたい。経営移管後も人的・技術的な面での協力を実施していく」と述べました。

《経営安定支援に40億円》
実施計画案では、赤字が続く城端線と氷見線について、県と沿線の4つの市が住民のために必要な公共サービスと位置づけて投資を行う姿勢に明確に示した上で、JR西日本と協力してあいの風とやま鉄道に対して40億円の経営安定支援を行います。
新田知事は「人口減少や少子化もあって、城端線・氷見線にかぎらず地域のローカル鉄道を取り巻く状況は苦しいが、赤字については、住民のために必要な公共サービスを維持していく上で、自治体が一定程度負担していくことが必要だ。一方で乗客を増やすためのあいの風とやま鉄道の取り組みを自治体として支援していくことも必要になってくる」と話しています。