中学3年自殺 第三者委「いじめが自殺の原因と考えられない」

去年11月、富山市の中学3年生の女子生徒が自殺した問題を受けて、市が設置した第三者委員会の調査結果が29日公表されました。
委員会は、女子生徒が部活動などでいじめを受けていたと認定した一方、死亡した時点では、いじめの影響は小さくなっていたとして、「自殺の原因になったとは考えられない」と結論づけました。

この問題は、去年11月、富山市の中学3年生の女子生徒が自宅で自殺したもので、市の教育委員会は、いじめが原因の可能性があるとして第三者委員会を設置して調査を進めてきました。
委員会ではことし1月から9月にかけて教職員や生徒など24人に聞き取り調査などを実施し、とりまとめた結果の概要が29日開かれた市議会の総務文教委員会で公表されました。
それによりますと、死亡した女子生徒は中学1年生だった時に同じ部活動の部員から容姿をやゆされたり、別の部員からもSNS上で侮辱されたりしていたほか、一緒に遊びに行く約束をした複数の友人から辛辣なことばで断られたこともあったとしてこれらの行為がいじめに該当すると認定しました。
一方、第三者委員会は、女子生徒が死亡した時期は、いじめを受けてから約2年が経過していたうえ、女子生徒と保護者がいじめについて訴え学校側が謝罪した経緯などから過去のこととして一定の整理ができていたとし、いじめの影響はかなり小さくなっていたため自殺の原因になったとは考えられないと結論づけました。
このほか、調査結果では学校側の対応について、女子生徒が2年生の時に不登校になった際、その原因を調査しなかったことやその後、いじめを受けていたと女子生徒側から学校に訴えがあった際に、法律上の重大事態に該当するにも関わらず重大事態として対応しなかったことなどが問題だと指摘しました。

【市の教育委員会「大変重く受け止める」】
第三者委員会の調査結果を受けて、市の教育委員会はきょう記者会見を開きました。
このなかで宮口克志教育長は「調査結果について大変重く受け止めています。いじめの認知やその対応に不備があり組織的な対応ができなかったことを謝罪申し上げます。今後、提言をもとに再発防止に早急に取り組んでいきます」と述べました。
そして、再発防止策として、学校でいじめが疑われる事案が発生した場合には早期にいじめ対策委員会を開催し事案を共有することやスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーがいじめ対策委員会に参画し、より組織的な体制で対応にあたる取り組みなどを進める方針を示しました。
【子どもの心の悩みに対応する相談窓口】
子どもの心の悩みなどに対応する相談窓口は県や国が複数設けています。
このうちインターネットで「富山県」・「児童生徒のみなさんへ」と検索すると、いじめや心の不安などの相談を受け付ける連絡先をまとめた県のホームページを見つけることができます。
このうち県総合教育センターの「24時間いじめ相談電話」は076−444−6320です。
またNPO法人の子ども向けの電話相談窓口、「チャイルドライン」は0120−99−7777で午後4時から午後9時までです。
文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」は0120−0−78310、なやみいおう、です。
また子どもに限らず、不安や悩みを抱える人の相談窓口です。SNSなどの相談窓口は、厚生労働省のホームページで紹介していて、インターネットで「まもろうよこころ」で検索できます。
電話での主な相談窓口は「よりそいホットライン」が0120−279−338、つなぐ、ささえる、です。
また「こころの健康相談統一ダイヤル」が0570−064−556、おこなおう、まもろうよ、こころです。