あゆ釣りの男性クマに襲われ腕をかまれるなど大けが 富山市

28日昼前、富山市の神通川で、あゆ釣りをしていた70代の男性がクマに襲われ、腕をかまれるなどして大けがをしました。
クマは、男性を襲ったあとその場から逃げていて、警察などが付近の住民に注意を呼びかけています。

富山県や警察によりますと、28日午前11時20分ごろ、富山市の山あいを流れる神通川で、70代の男性があゆ釣りをしていたところ、突然現れたクマに左ひじをかまれたり肩をひっかかれたりしたということです。
男性は、みずから近くにあった店舗に駆け込んで助けを求め病院で手当てを受けましたが、全治1か月の大けがだということです。
また、クマは成獣とみられ、男性を襲ったあと、川岸を上流に向かって逃げていったということです。
現場は、山あいの小さな集落に近い場所で、市の職員や地元の猟友会が調査を行いましたが、クマの行方はわかっておらず、警察が付近をパトロールをして住民に注意を呼びかけています。
県によりますと、県内でことし1月から8月末までに確認されたクマの出没件数は152件で、8月も北アルプスの薬師岳の富山市内にある登山口で、登山客の男性がクマに襲われて軽いけがをしました。
ことしは、クマのエサとなるブナやミズナラなどの実が県内全域で不作となっていて、県は、例年よりもクマの出没件数が増えるおそれがあるとして、改めて注意を呼びかけています。

富山市でクマによる人身被害が出たことを受けて県は28日、「ツキノワグマ出没警報」を発表しました。
県によりますと、秋は、冬眠を目前にしたクマが食べ物を求めて1年で最も活発に活動し、えさとなるドングリ類のほかに、柿やくりなどを求めて山里から平野部に出没する可能性が高いということです。
また、市街地でもクマと遭遇し被害がおきる可能性が高いとして、利用する予定のない果樹は早めに実を取り除くなど、クマのえさになるものをなくすことや、クマが家の中に侵入しないよう、住宅や車庫、それに倉庫などの戸締まりを徹底するよう呼びかけています。
さらに、クマは朝や夕方に活発に活動するため、山里の集落では、その時間帯の外出や農作業などはできるだけ避け、もし外出する場合には、鈴やラジオを利用して、自分の存在をクマに知らせるよう呼びかけています。

連絡を受けて現場に調査に訪れた県自然博物園「ねいの里」の赤座久明野生鳥獣共生管理員は「ブナやミズナラなどの実りが悪いときは、クマは、代わりに栗や柿などの果樹を求めて集落に下りてくる。いまの農村は高齢化が進み、柿などがそのままになっていることが多いができるだけ処分して、クマをひきつけないようにしてほしい」と話していました。