「布橋灌頂会」6年ぶりに有観客で開催 立山町

白装束姿の女性が極楽往生を願い、目隠しをして橋を渡る伝統儀式の「布橋灌頂会」が、立山町で6年ぶりに観客を入れて行われました。

「布橋灌頂会」は、江戸時代に山岳信仰の対象だった立山に女性が入ることが許されなかったため、その代わりに極楽往生を願って行われた伝統儀式です。
近年は3年ごとに行われていて、今回は6年ぶりに観客を入れて通常の規模で行われ、立山町芦峅寺の会場には県内外から60人の女性が参加しました。
参加者は、はじめに閻魔堂と呼ばれるお堂で僧侶がお経を唱えるなか、心身を清めました。
そして白装束をまとった女性たちは、白い布で目隠しをしてかさをかぶり、僧侶の先導に続いて長さおよそ45メートルの「布橋」に向かいました。
朱色の橋には、極楽浄土への道を表すとされる3列の白い布が敷かれていて、女性たちは雅楽の音色が響く中、数珠を持ち手を合わせながらゆっくりと歩いて渡り、極楽往生を願っていました。
会場には、多くの見物客が訪れ、橋を渡る女性たちの姿を静かに見守ったりカメラで撮影したりしていました。
地元から参加した70代女性は「ことし夫が亡くなったので、立山を見たら涙が出ました。橋を渡ると亡くなった人に会えたような気がしました」と話していました。
兵庫県から参加した50代女性は「橋の上で気持ちがパッと明るくなり、心が浄化された気がしました」と話していました。