特急「やくも」旧型車両 定期運行終了で沿線に鉄道ファン

山陰と岡山を結ぶ特急「やくも」の国鉄時代に製造された旧型車両が、14日から15日にかけて定期運行を終えることになり、沿線には写真におさめようと多くの鉄道ファンが訪れています。

「やくも」で昭和57年から使われてきた「381系」は、国鉄時代に製造された特急車両のうち、今も定期運行の特急電車に使われている唯一の車両です。
ことし4月から新型車両が順次導入されて「381系」は、14日から15日にかけて定期運行を終えることになり、撮影ポイントとして人気の日野町の根雨駅と黒坂駅の間には、早朝から大勢の鉄道ファンが集まりました。
そして午前9時前後に緑と黄色のラインが入った「緑やくも色」という車両と、クリーム色の車体に赤いラインが入った「国鉄色」と呼ばれる車両が通過すると、ファンは山あいののどかな景色を背景にしたラストランの姿を写真におさめていました。
兵庫県から訪れた63歳の鉄道ファンは「国鉄時代の車両は私たちと同世代で思い出深い。最後まで残してくれてうれしい」と話していました。
また沿線を巡回して鉄道ファンのマナーアップや関係構築に取り組んできたJR根雨駅の和田隆駅長は、14日も訪れた人たちに「道路に出すぎないように気をつけてください」と注意を呼びかけたり「最後の雄姿なのでいい写真を撮ってください」と声をかけたりしていました。
和田駅長は「381系に『長い間、ご苦労さん』と言いたい。381系が走らなくなっても、また多くの人に訪れてほしい」と話していました。

【JR米子駅では】
JR米子駅では、旧型車両の「381系」のラストランにあわせたイベントが開かれ、ホームに「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンが大勢集まって、列車の到着を待ちました。
そして「国鉄色」の列車が到着すると、一斉に写真におさめていました。
この車両の乗客のうち、米子駅で降りたおよそ250人には「381系」の車両の写真と「ラストラン」の文字、14日の日付が入った記念乗車証が手渡されました。
JR西日本によりますと14日、岡山から山陰に向かう「381系」の5本の列車はすべて満席だということです。
この列車に乗って愛知県から訪れた30代の男性は「ラストランのために会社を休んで来ました。『長い間走ってくれてお疲れさま』と言いたい」と話していました。
また、岡山県から訪れた20代の女性は「車両の色や乗ると揺れるところが好きでした。お別れするのは寂しいです」と話していました。