旧満州から引き揚げる日本人描いた巨大絵画の展示会 米子

戦後、旧満州、今の中国東北部から引き揚げる日本人の姿を描いた巨大な絵画などの展示会が、米子市で始まりました。

米子市美術館で31日から始まったこの展示会では、中国人画家・王希奇さんが描いた旧満州の風景や建物の絵画など21点が紹介されています。
このうち「一九四六」は、高さ3メートル・幅20メートルの巨大な油彩画です。
この絵には、1946年に中国の葫蘆島(ころとう)から引き揚げる船に乗り込むために、港で長い列をつくる数百人の日本人が描かれていて、なかには遺骨を抱える子どもや、疲れ切った表情で赤ん坊を抱く母親の姿もあります。
オープニングセレモニーに参加した王さんは「13年前、旧満州から引き揚げる日本人の写真を見て、戦争の残酷さ、平和の大切さ、命の尊さを伝えたいと思い『一九四六』をつくりました。作品を通じて日本とつながれることをたいへんうれしく思います」と述べました。
展示会を訪れた、2歳の時に家族とともに旧満州から引き揚げたという伯耆町の80歳の女性は「この絵の中に私もいるんじゃないかと感じて涙が出ます。この絵で引き揚げを残してもらえて良かったです」と話していました。
展示会の実行委員会の高橋敬幸共同代表は「戦後、悲惨な事実が旧満州であったことをみなさんと一緒に追体験することで、戦争は二度としない、平和な世界をつくっていきたい」と話していました。
この展示会は米子市美術館で、6月4日まで開かれています。